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【岡本綾子 ゴルフの、ほんとう】Vol.821「練習をする人は目標がある人だと思います」

KEYWORD 岡本綾子

米国人以外で初めて米女子ツアーの賞金女王となった日本女子ゴルフのレジェンド・岡本綾子が、読者からの質問に対して自身の経験をもとに答えていく。

TEXT/M.Matsumoto

前回のお話はこちら


先日、初めて70台が出ました。特に運動歴もなく、ゴルフを始めて4年ではかなり早いほうだと言われます。自分としては特に意識もしてこなかった「80の壁」ですが、これを越えると何か変わるのでしょうか?(匿名希望・42歳)


特に運動歴もないのに、週1~2回練習場へ通い、月1~2回のラウンドをしてゴルフを始めて4年ほどで80の壁をクリアすることができたことはスゴイと思います。

そこで質問の、自分の前に立ちふさがる壁を越えると何か変わるのか? ということですが、正直お答えようがないというのが本当のところですね。

よく話題に上がるのが100切りでしょう。

その次に現われる18ホールすべてボギーで上がる90の壁。

そしてあなたの言う80の壁というのも、成長への関門のひとつなのかもしれません。

なかなか乗り越えられず意識するからこそ壁という表現になるのでしょうね。

気持ちは分かります。

これまでお話ししてきましたが、ゴルフの上達をグラフにした場合、それは決して右肩上がりの直線で伸びていくものではありません。


レベルアップには必ず停滞期があり、それを何度も繰り返しながら一歩一歩、上っていくものだと心得てください。

一般に壁と呼ばれているのは、この停滞期を指しているものと思われます。

何度チャレンジしてもうまくいかなかったのが、最初の100切りで上がり1ホールをボギーで収めれば99が出る、と分かっていてもダボを打ってしまう。

今日は調子良く前半を42で回れたから90台が出そうだと思うと、後半になると人が変わったように大叩きする。

ところが、ある日そんな心配をしなくても、意外と簡単に100が切れてしまっていることに気付くことがあるのではないでしょうか。

通り過ぎた後、どうしてそれが乗り越えられなかったのかがわからなくなる。

それが壁なのではないかしら。

要するに、壁は用意されているのではなく、実はあなた自身が作り上げたものではないでしょうか。

人にはそれぞれの壁があるとは思います。

同じ壁でも高さが違えばクリアする課題は違うはずです。

つまり、壁とは個人的なものであり精神的な部分が多く関与してくるものです。

体力や技術の課題と練習に加え、ラウンドの経験と知識の積み重ねとともに向上していくとしたら、その途上に現われる停滞期の克服も練習で乗り越えていく以外に近道はありません。

進化の停滞は壁のように見えても限界ではないのですから、心配する必要はありません。

ただ、停滞が長引き、先が見えないと不安に襲われ迷いが生じることもあるでしょう。

その場合は、周囲の人に助けを求めればいいのです。

練習の方法が間違っていないか意見を求めコーチを探して相談するなどすれば、必ず道は開けると思います。壁とは明確な目標のあるゴルファーにこそ立ちふさがるものです。

その壁は、ゴルファーのレベルに応じて厳しくなり、わたしたちプロの場合だと、コースセッティングもタフなため、たとえばほんの1ヤードのショットのブレによってスコアが変わることがあります。

ですが、80の壁を感じている人にとっては、1ヤードくらいショットがブレたとしてもほとんど問題もないはずですよね。

ですが、そこに満足せずもっとゴルフを突き詰めてみてはどうですか?

自分を甘やかさず、明確な目標を高く設定すること。

ゴルファーの成長は、本人がどこまで上手くなりたいか。

そこにかかっていると思います。

もし今のあなたが停滞期にあると感じているのなら、週に2回だった練習を3回にするとか、コースに行った際はラウンドの後の反復練習を増やすとか、練習方法を変えるなど、今までとは違う工夫をしてみることをお勧めします。

停滞期を脱するには、従来どおりでは難しいです。

ひと皮むけるというのは、新しい自分になれるチャンスと思ったほうがより練習に精が出るのではないかしら?

「“壁”を作るも越えるもアナタの心持ち次第じゃないかしら」(PHOTO by Ayako Okamoto)

週刊ゴルフダイジェスト2024年7月16日号より

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