【キミこそ王子だ】Vol.329 スウィングも性格もよどみなく素直な中2女子
雑巾王子こと武市悦宏プロが、全国の有望なジュニアゴルファーのもとを訪れ、大人ゴルファーにも役に立つゴルフのヒントを探る当連載。今回の王女候補は、岡山県出身、岡山市立竜操中学校2年の三木夢依さんだ。今年「中国女子アマ」で2位となり、「日本女子アマチュアゴルフ選手権」に中2で出場した逸材を武市が直撃!
今回の王女候補
三木 夢依さん
みき・めい ●主な戦歴/2024 中国女子アマチュアゴルフ選手権2位 ●ベストスコア/67(山陽GC) ●練習/毎日2時間200球 ●トレーニング/特になし
5月に行われた「中国女子アマチュアゴルフ選手権」で、中学2年生ながら2位という好成績を収めた三木夢依さん。
ゴルフを始めたのは6歳。父親と兄と一緒に練習場に行ったのがキッカケだ。専属コーチは付けず、クラブを握ったときから父親が教えている。
夢依さんのスウィングを見た武市は、開口一番「クラブが振れているね~」と褒めた。
「お父さんにはどんなことを教わっているの?」
「とにかく手を使わずに、体の回転で振れと言われています」
「なるほどね。実は“クラブを振る”と“クラブが振れている”は、動作は一緒だけど内容が違うんだよね。意識的に力を入れて“振る”に対し、自然にそうなっているのが“振れている”ってイメージかな。つまり、前者は腕や手を使ったスウィングで、後者は体の回転に同調して腕が動いているスウィングってこと。それで言うと夢依ちゃんは100パーセント後者タイプ」
腕が首に思い切り巻き付くフィニッシュを見て「“振れている”スウィングのひとつの証し。腕が脱力していないとこうはならない」と武市は言う。
そして続けて、
「夢依ちゃんのスウィングはめちゃシンプル。基本はバックスウィングで右腰を後ろに引き、ダウンスウィングで左腰を後ろに引くだけ。ただ、それだと速度が出ないし、体が浮き上がってしまう。そこで活躍しているのがひざ。夢依ちゃんは、ひざのクッションを上手に使って体の回転速度を出しつつ、上体が浮き上がらないように抑えている。腕も体に引っ張られ勝手に動いているだけ。そのほか意識的にコントロールしている動きがないから、ヘッド軌道は自然とイン・トゥ・インに。極端に上から打ち込んだりすることもないので、バックスピン量が少ない理想的なドローボールが打てている。やっぱりシンプルイズベスト! だね」と解説。
シンプルなスウィングのメリットは、「調子が悪くなりにくいこと。もし調子を崩しても元に戻しやすいこと」と武市。「今は情報量も多いし、周りもいろいろ言うし、いろいろやりたくなっちゃう。でも、お父さんの教えを信じて体の回転に注力したスウィングを全うしている」
「ありがとうございます」
多くのジュニアゴルファーは学業とゴルフの練習で大忙しだ。夢依さんも時間に追われる毎日だが、
自分だけの“ひそかな楽しみ”があると言う。それは、空の写真を撮ること。
「ふと、キレイな空とか雲を見るとつい写真を撮ってしまいます」
スマホのアルバムは空の写真でいっぱいなのだとか。
夢依さんの素敵な趣味に感動し、「近い将来、世界に羽ばたくプロとなり、いろんな国の空を見るだ
ろな」と思いをはせる武市であった。
週刊ゴルフダイジェスト2024年7月16日号より