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【インタビュー】古江彩佳<前編>狙うは米2勝目とパリ五輪! 運を味方につけるため「いいこと」をするだけです

米女子ツアー3年目のシーズンを戦う古江彩佳。8月に開催されるパリ五輪を前に、今年はどんな思いで戦っているのか。じっくり話を聞いてみた。

TEXT&PHOTO/Yasuhiro JJ Tanabe

古江彩佳 2000年生まれ。兵庫県出身。2019年、富士通レディースでアマ優勝を飾り、プロ入り後も7勝を挙げる。2022年から米女子ツアーに参戦し、同年、スコットランド女子オープンで優勝。ロレックスランキング19位(6/13時点)

「飛ばないほうではありますが
ちょっぴり飛距離も伸びました」

――今年で米女子ツアー3年目ですね。

古江 そうですね。私はもともと日本で長くやりたいと思っていたんですが、2021年にエビアンと全英に行く機会があって、海外の試合の楽しさを知って考え方が変わったんです。

――そうだったんですか。では、世界を目指すとか、メジャーに勝ちたいとか、そういう気持ちはなかった?

古江 まったくなかったです。目の前のやるべきことをひとつひとつやってきた感じです。

――いまはどのような考えになりましたか?

古江 ルーキーシーズンに1勝できて、自分でも勝てるっていうことが自信につながって、アメリカでもっと頑張りたいという欲が出てきたと思います。

2021年12月、翌年の米女子ツアー出場権を懸けたQシリーズでは、通算18アンダー単独7位の好成績でツアーカードを手にした。東京五輪の代表になれなかった古江は、気持ちを切り替えるためにもアメリカ挑戦への道を選んだ

古江とマイク・スコットは、ルーキーイヤーだった2022年、スコットランド女子オープンでいきなり優勝するという離れ業をやってのけた。黄金コンビで、米女子ツアー2勝目を狙う

――米ツアーのレベルをどう感じていますか?

古江 やっぱりタフだなぁ、と感じています。日本ツアーと比べると移動距離が長いし、そこに時差もあります。それと毎試合、芝が違います。

――選手はどうですか?

古江 ポテンシャルがあると思います。身長も大きくて、飛ばします。曲げてもグリーンに乗せられるパワーと技術を持っていたり。多彩なアプローチを使う選手も多いですね。

――古江プロといえば、高いフェアウェイキープ率。去年が2位、今年も4位(6/13時点)です。それと、今年は飛距離も伸びています。

古江 1年目にいろんなパワフルな選手と同じ組になって、ボールに当たる音だけでもスゴいんですよ。それで、自然と自分も振るようになっていった感じです。それと、今シーズン替えたドライバーは、ランも出るので少し飛ぶようになりました。

今シーズンからニュードライバーに替えた古江は、ツアー屈指の高いフェアウェイキープ率を維持したまま、昨シーズンよりも約5ヤード飛距離を伸ばした。「質のいい弾道になって、着弾してからのランが増えていると思います」


連戦の疲れがたまるとオーバースウィングになってしまうという古江は、「このくらいのちょっと浅めトップで打ちたいんです」と言う。ツアー屈指のフェアウェイキープ率は、こんなショートトップから生まれていたのだ

パットの要諦は
強い気持ちと「運」!

――アメリカに来てから覚えたショットはありますか?

古江 距離を落とすショットを覚えました。これまでは番手と番手の間の距離が残ったとき、下のクラブで飛ばすほうが好きだったんですが、ここ1年ぐらいは、上のクラブで距離を落とすことをやっています。それをもうちょっと上手くやりたいなぁと思います。

――そのショットの利点は?

古江 下のクラブで飛ばしにいくと、当たりミスや曲がりが多くなります。上のクラブを持つと絶対に届くし、安全なんです。それと、球の高さを打ち分けたり、短いクラブでフェードを打つこともできるようになってきて、ピンを狙うショットバリエーションが増えてきました。

――残り半年ですが、今シーズンの目標は何ですか?

古江 厳しい競争が続きますが、できればオリンピックの出場を果たしたいですね。それと、去年、優勝がなかったので、何とか優勝したいと思っています。

ショップライトLPGAクラシックの会場、シービューベイコースはニューヨーク州の隣、ニュージャージー州にある。古江はこの試合を2位タイでフィニッシュ。次はミシガン州のブライズフィールドCCへ、さらにその翌週はワシントン州サハリーCCへ、オリンピック代表を懸けた戦いが続く

――優勝を手にするには何が必要でしょうか?

古江 大事なところでミスをしないことです。それと、最後はやっぱりパッティングが入ってくれたら、と思っています。最終日に4〜5メートルを2〜3個ぐらい決めたいな、と。

――パットは水物とよく言われますが、どうすれば入るでしょうか?

古江 自分が勝てないときは、打ち切れないパットが多いので、まずは強い気持ちでしっかりトライしたいと思います。でも、最後は運かな。入れる気がないパットが入ったりすることもあるので。運が向くように、いいことをするだけですね、普段の生活から(笑)。

アメリカで涙したのは1度だけ。それは、予選落ちした2023年のDIOインプラントLAオープン。優勝争いに敗れるよりも、ショットもパットも上手くいかなかった不甲斐なさのほうがずっと悔しい、とコメントした

>>後編へつづく

週刊ゴルフダイジェスト2024年7月2日号より