【キミこそ王子だ】Vol.320 目標は世界ランク1位! 針の穴を通す正確ショットで頂点を目指す中2女子
雑巾王子こと武市悦宏プロが、全国の有望なジュニアゴルファーのもとを訪れ、大人ゴルファーにも役に立つゴルフのヒントを探る当連載。今回の王女候補は兵庫県出身、稲見町立稲見中学校2年の福田美来さん。小学校時代から数々の試合を制してきた強者は、ある意味、武市とは正反対のスウィングの持ち主。その真相は?
今回の王女候補
福田 美来さん
ふくだ・みくる ●主な戦歴/2023全国中学校ゴルフ選手権2位タイ ●ベストスコア 65(アオノGC) ●トレーニング/体幹トレーニング30分、ランニング2~3キロ ●練習/毎日300球2時間、アプローチ&パター1時間(毎日)
「天才型」と「努力型」。アスリートのタイプを分けるのに、よく使われる言葉だが、今回紹介する福田美来さんのスウィングを見た武市は、「彼女の印象は後者」と言う。
5歳のときに兄の影響でゴルフを始めた美来さん。小学校時代から関西地区では有名な選手で数々の試合で優勝を勝ち取った実力者である。
ゴルフを教えているのは主に父親。そのアドバイスを胸に、日々コツコツと練習を重ねている。
練習場での打撃練習、家でアプローチとパター、ランニング、体幹トレーニングと、1日のスケジュールはゴルフ時間でいっぱいだ。
「その真面目さがスウィングにも表れている」と武市。
「すごく堅実なスウィングだよね。グリップもキレイだし、フェース面もしっかり管理できている。上半身と下半身の捻転差で飛ばす、というよりは、正確性を求めたスウィングに思える。美来ちゃん自身は、スウィングで大切にしていることは何?」
「リズムです。フルショットはアプローチの延長だと思っているので、どのクラブもアプローチのリズムで振るようにしています」
確かに、パンチが入ったり緩んだりすることがなく、常に一定のスピードでヘッドが動く。
「彼女のスウィングは完璧な左軸。ボールの位置も全番手、真ん中より、ちょっと左で統一している。手の位置も左股関節の前。そして、左股関節を軸にして、左手リードで振り抜く。バックスウィング~トップ~インパクトと右手が左手を越すことがない。球筋は安定したフェードで曲がる印象がない。ボクとはある意味、真逆なスウィングだからすごく勉強になる」
「そうなんですか?」
「ボクの球筋はドロー。ヘッドをバンバン走らせて飛ばしたいタイプだから腕を振りつつ、あえて少しフェースターンをさせてるの(笑)。でも、美来ちゃんは、まったくコネる動きがないから腕とクラブとフェース面が体の正面をキープできて、手と体の同調が非常に上手。たくさん練習して身につけたことが伝わってくる」
「ありがとうございます。球を打つ前に、両わきが開かない練習グッズで素振りをしています」
好きなプロゴルファーは古江彩佳プロという美来さん。
「あ~、なるほど。正確性を追求したスウィングの古江彩佳プロが好きなんだね」
使っているクラブも、同プロが契約しているブリヂストンスポーツだ。
最後に将来の目標を尋ねると、
「世界ランク1位です」
と、控えめながらもキラキラした目で答えてくれた美来さん。
「1位になったら何をしたい?」
「イチゴをいっぱい食べたいです」
「焼肉でもお寿司でもなくイチゴ?」
「ちなみにすき焼きも好きですけど、イチゴがあれば最高です(笑)」
かわいらしい答えに、頬を緩ませながらエールを送る武市であった。
週刊ゴルフダイジェスト2024年2月27日・3月5日合併号より