「ウッド8本」「36試合で25種類のパターを使用」青木瀬令奈“飛ばない私”のクラブ考
平均250ヤードを超える選手も少なくない近年の女子ツアーにあって、昨年、平均224ヤードという飛距離で2勝を挙げた青木瀬令奈。「ゴルフを始めた頃からずーっと飛ばない」という彼女を支える14本のセッティングと、それを使いこなすテクニックについて聞いてみた。
TEXT/Shotanow PHOTO/Arakishin THANKS/紫CCあやめC
サポート解説/大西翔太
おおにししょうた。名門・水城高校ゴルフ部出身。その後コーチング理論を学び、2015年から青木のコーチ兼キャディとしてツアーに帯同。技術論にとどまらずギアやコース設計にも造詣が深い
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- 平均飛距離が224ヤードながら、昨年2勝を挙げた青木瀬令奈が、飛ばなくても強いゴルフの秘訣を伝授。後編では、青木の武器である正確無比なウッドの打ち方を教えてもらった。 TEXT/Shotanow PHOTO/Arakishin THANKS/紫CCあやめC 青木瀬令奈 あおきせれな。1993年生まれ。153cm。7歳からゴルフを始め、高校1年時に全国高校ゴルフ選手権優勝。その後、プロ……
打ちたい球から
逆算でクラブを選ぶ
――冒頭から「飛ばない」と連呼してしまって恐縮ですが、飛ばないことに誇りを持っているとか。
青木 誇りというと大げさですが、ゴルフを始めてからずっと一番飛ばないという立ち位置なので、クラブもコースマネジメントも試行錯誤しながらプレーをしてきました。飛距離を補って余りある武器を持っているのは強みです。
――FWが4本にアイアンは3本。さらにアイアンはコンビネーション……。かなり変わってますよね。
青木 私は距離に対して、どういう球を打ちたいっていうイメージを明確に作っています。たとえば160ヤードはピンを狙う距離なので、高さが出て球筋をコントロールしたい。それが両方可能なのは23度のUTかなとか、同じロフトでもFWはまた役割が別なので、ロフトがきれいな階段にならないこともある。一つ一つ実現してくれるクラブを揃えたら、今の14本に行き着いたという感じです。
――“今の”というと、今後も変わるかもしれない?
青木 打ちたい球筋からクラブを選ぶのは変わりませんが、ウッドを減らしたりウェッジを厚くしたりはあると思います。基本的には新しいクラブは試して良かったら採用! みたいなことを繰り返しています。
ウッド8本。アイアンは8番から!
青木瀬令奈の14本
ドライバーは「ゼクシオX」。昨シーズンの最終戦、リコーカップから使用する。低スピンで直進性の高い球が出ると採用を即断した
アイアンはZX5とZX7のコンボ
アイアンは8番、9番、PWの3本だが、8番は低重心で高さの出しやすい『スリクソン ZX5』、9番とPWは自然とダウンブローが強くなるため、やや重心の高い『スリクソン ZX7』を採用している
アイアンシャフトは番手に合わせて最適な設計になっているが、青木はあえてそれをズラし、8番には7番用の、9番には8番用のシャフトを挿している。そうすることで表示のフレックスよりやや硬くすることができるという
36試合で使ったパターは25種類!
――14本のセッティングもかなり変わっていたんですがさらに驚くのは、昨シーズン36試合に出場して25種類のパターを使ったとか。
青木 これまでもシーズン中に試して替えるみたいなことはありましたが、こんなに多かったのは去年が初めてです。
――何か悩みがあった?
青木 いえ、パターも他のクラブと同じで、理想の転がりが打てるヘッドを都度使っていたら増えていっちゃったという感じです。芝質やグリーンの硬さ、それに自分のコンディションによっても転がり方は変わってきます。
――パットでも球筋を意識しているんですか?
青木 インパクト後に4〜5回バウンドして、そのあとスーッと伸びる球が“持ち球”です。ただ同じように打っていてもコーライとベントでは変わってくる。さらには開幕戦の琉球GCとフジサンケイの川奈のコーライは、球の浮き具合が異なるので球筋も変わります。
――打ち方は変えずにパターで対応しているんですね。それにしてもこれだけ替えて平均パット数3年連続1位は驚きです。
青木 実戦で使ってみないと分からない点もあるので、そこにためらいはありません。
青木が2023年に使用したパター(の一部)
一般的なツアープロは、「1本のエースパターに2~3本の控え」程度でローテーションをすることが多いが、青木の場合、ほぼ毎試合異なるヘッドを実戦で使用している
どのパターを使用するときもグリップはクロスハンドから変えない。左利きの青木は左手の人さし指を伸ばすことで、ヘッドの動きを感じるようにしているという
大西翔太のワンポイントレッスン
アドレスは首を長く
アドレスでは肩が落ちて脱力した姿勢を保つのがポイント。肩をすぼめた首が短く見える状態では、スムーズなストロークができない
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週刊ゴルフダイジェスト2024年2月13日号より