「コース設計にも興味があります」『とんぼ』の作者が松山英樹の深奥に迫る!<後編>
世界で戦う松山英樹を「オーイ! とんぼ」の原作者・かわさき健がインタビュー。後編では、「とんぼ」に出てくるコースの話から、松山英樹のコース設計に対する思いなど、さらに深い部分を掘り下げていった。
PHOTO/Takanori Miki、Taku Miyamoto、Tadashi Anezaki
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- 2022-2023年シーズンでPGAツアー参戦10年を終えた松山英樹。片や2024年に10周年となる小誌人気連載「オーイ! とんぼ」。世界のトッププロとして活躍し続ける松山が、実は「とんぼ」ファンだと聞き付け、漫画原作者・かわさき健が直撃。とんぼと英樹、その原点とゴルフを語り合った――。 PHOTO/Takanori Miki、Taku Miyamoto、Tadashi Anezaki ……
「とんぼのコース回ってみたいです!」
かわさき ところで松山プロ、今後『オーイ!とんぼ』に出るとしたら、どんな役で出たいですか?
松山 名前くらいじゃないですか。
かわさき 逆にとんぼは松山プロを知らない設定がいいかもしれません。
松山 確かにとんぼは知らなそうですよね(笑)。
かわさき それで、「誰?」みたいなリアクションくらいのほうが面白いかなって。
松山 「え、ちょっとゴルフが上手いかもしれないですね」くらいでいいのかな。
かわさき 後で知ってめちゃくちゃ驚くでしょうね。実はとんぼ、春にアニメ化されるんですよ。
松山 そうなんですか、すごい。でも僕はアニメってあまり見ないんですけど……。
かわさき 漫画を読んでくれていることだけで嬉しいです。
松山 そうですね。あ、とんぼは初めて持ったドライバーが「ZR30」だったというのがちょっと嬉しかったです(笑)。
かわさき それはもちろん、松山プロが使っていたから出したんですよ(笑)。
松山 嬉しくて、あれに戻そうかなと思ったり(笑)。でも、僕も、島で育ったわけではないですけど、父親とずっと一緒に2人でコースにいたので……遊びながらゴルフしていたというか。
かわさき そういえば、明徳義塾の高校ゴルフ部が使っていたゴルフ場(スカイベイGC)に行ったんですけど、山あり谷ありですごいコースです。
松山 はい、狭いところもありますしね。
かわさき コースが人を育てるということがあるけど、だから松山プロは、飛距離はもちろんだけど、あれだけの技術を持っているんだろうなって。
松山 けっこうOBを打ちましたので(笑)。どの世界のコースより、よほどヤバイですから。もう1つ。とんぼに出てくるあのグリーンって、すごかったですよね。パターを初めて使うシーン。
かわさき そう言っていただけたら嬉しいです。
松山 あの(クタさんの)ホール、回ってみたいです。あれが本当にあったら、ずっといるだろうな、楽しいだろうなって。
かわさき 僕も考えながら楽しかったんです。漫画の中で「悪礫島に超難しいパー3がある」って書いたんですけど、その段階ではどんなホールか決めてなかったんですよ。それで、あとから慌てて考えたんです。松山プロにもホールを考えてほしいなあ。コース設計とかは興味はないですか?
松山 ああ、興味あります。子どもの頃にはよくコースの図を描いていました。
かわさき やっぱり、ゴルフが好きなんだなあ。
松山 こういうふうにやったら面白いだろうなあと。でも恥ずかしくなって、その場で全部、破り捨てましたけど(笑)。
かわさき それが残っていれば、お宝ですよね。
松山 PGAに行っちゃったので、今描いたら、あちらのコースがモデルになるんですよ、たぶん。
かわさき いいですね。いつか、必ずコース設計を実現してほしいです。話は変わりますが、お酒は好きですか? 僕は大好きで、この前一度飲んでひっくり返って。
松山 ええっ。僕も好きですけど、最近はちょこちょこですね。
かわさき 何がお好きですか?
松山 ワインも好きですし、焼酎も、ウイスキーも好きなので。
かわさき アルコールが入っていれば、何でもいいと?
松山 いや、それはないです。
かわさき 今日は10年熟成の焼酎をお持ちしましたので飲み干していただき、また新たな気持ちで。
松山 飲み干して、ですね(笑)。でも10年終わってみて、最終戦に10年連続出場というのは途絶えましたけど、また新たなスタートだと思ってはいるので。またメジャーで勝てるように、そして、今8勝なので、9勝目、10勝目を挙げられるようにすることが今の目標ですね。
「またメジャーで勝てるよう、9勝目、10勝目を挙げられるようにすることが今の目標です」と松山。進化し続ける“HIDEKI”を応援したい
かわさき 僕の目標は、何とか連載を続けること。目の前の一作一作を……ゴルフっぽいでしょう。
松山 イガイガは、どこまで行くんですか?
かわさき どこまで行くんでしょうね。イガイガは僕がモデルだと言われているんですけど、全然似ていないんです。でもまあ、どこまでも行きましょうかね。今日は貴重な時間をありがとうございました。
表紙撮影の裏側を公開!
実際に「とんぼ」が隣にいると想定して表紙撮影に臨んでくれた松山英樹。採用されたのは、そっと肩に手を当てるバージョンだ。作画の古沢優氏は、「松山プロ同様、これから世界に羽ばたいていくとんぼ。世界の頂点に立った松山プロが隣にいたらこんな感じになるだろうな、というのを想像して描きました。対談で『もっともっと勝っていきたい』とおっしゃっていましたが、その言葉の通り、まだまだメジャーで勝てると思っています。ぜひグランドスラムを達成してほしい。ショット力に関しては間違いなく世界No.1だと思うので、必ずやってくれると信じています」。
出来上がった表紙のとんぼには、「今日はすごく緊張しているんです。マスターズチャンピオンを目の前にして」というかわさき氏の気持ちが入った感じだ。表紙のカット以外にも、「グータッチ」や「天真爛漫とんぼ」バージョンも撮影していた。
週刊ゴルフダイジェスト2024年1月9・16日合併号より