【ゴルフはつづくよどこまでも】Vol.145「印象に残るパー3」
高松志門の一番弟子として、感性を重んじるゴルフで長く活躍を続ける奥田靖己。今週もゴルフの奥深い世界へと足を踏み入れていく。
PHOTO/Tsukasa Kobayashi
試合でベスト5に残ってもあまり印象に残っていないゴルフ場ってあるんです。ところどころのホールは覚えていても、全体としては何となく印象に残っていない。
では、プロにとって印象に残るゴルフ場やホールといえば、たとえば川奈(富士C)の16、17、18番のように“ゾクッとする”ようなホールですよね。
特に、パー3は一発で決めなあかんし、大叩きすることも多いですから。パー5ならティーショットが少々ややこしかっても、パーで上がれることも多いけど、パー3は、1個のミスが致命的になるケースが多く、リカバリーが利きにくいので印象には残りやすいです。
といっても、パー3はティーショットの距離が長いから難しいわけやないんです。有名なペブルビーチの7番は、距離はたった109ヤードですけどプロでもめっちゃ苦労します。周囲に遮るものがないので海風が四方からビュンビュン吹く。ティーショットは風向きによって行きすぎたり戻りすぎたり大変です。プレーヤーにとっても見ているほうにとっても印象に残るパー3ですわ。
日本のコースでいえば三好CCの16番ですね。打ち上げで、ティーイングエリアから見るとグリーン面は左奥に向かって斜めに長い形に見えている。それで左サイドは崖ですから、ピンが左に切ってある場合は崖に打っていくように見えるんです。
ちょっとでも距離が狂ったり球が巻いたら崖下ですからね。そらもう縦の距離感が難しいし、よっぽど切れ味のよい球を打たんとピンには絡みません。
パー4でも、斜めのフェアウェイだったり、真っすぐなホールでもカッティングが斜めになっているようなホールはティーショットは難しいです。車の運転でも、真っすぐな道路は注意力はやや散漫になるかもわからんけど、道がちょっとだけうねっておると運転もちゃんとせなあかんという意識になる。それと一緒です。
僕の印象に残るパー3は、と聞かれたら、そらもう自分が優勝したカシオオープンでOKバーディを取った指宿GCの17番ホールですね。なんだかんだいうても、優勝したコースは印象に残っているんやね。
「三好CCの16番・パー3。ゾクッとするようなホールは印象に残りますわ」
奥田靖己
おくだせいき。1960年、大阪生まれ。93年日本オープンなど6勝。シニアで2勝。ゴルフの侘び寂び、温故知新を追求する
週刊ゴルフダイジェスト2023年9月19日号より