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【名手の名言】ウォルター・シンプソン「ゴルフは真剣に取り組みすぎると自然への畏敬の念までなくしてしまう」

レジェンドと呼ばれるゴルフの名手たちは、その言葉にも重みがある。ゴルフに限らず、仕事や人生におけるヒントが詰まった「名手の名言」。今回は、史上初めての本格的ゴルフ書『THE ART OF GOLF』の著者であるサー・ウォルター・シンプソンの言葉を2つご紹介!


ゴルフにも欠点はある。
真剣に取り組みすぎると
すべてが破壊され
自然への畏敬の念まで
なくしてしまう

ウォルター・シンプソン


サー・ウォルター・シンプソンは、19世紀のスコットランドの哲学者にして、世界最古のゴルフクラブ「ジ・オナラブル・カンパニー・オブ・エジンバラ・ゴルファーズ」のキャプテンも務めた人物。表題の言葉は、シンプソンの著した史上初の本格的ゴルフ書『THE ART OF GOLF』に収められたもので、以下のように続いていく。

「自然への畏敬の念とは、例えば雲雀(ひばり)の鳴き声、虫の糞、蜂の羽音までが彼にとって憎むべき存在となる。不運にもショットが鳥に命中し、そのボールがバンカーに入ったと激怒するゴルファーもいる。哀れ、鳥は死んでしまったというのに。

絹糸のような雨、可憐な花を咲かせるヒース類もスウィングの邪魔者としてあしらわれる。四季折々に吹く東風、西風、南風、北風も季節の使者としての資格を失い、厄介者として扱われる」

ゴルフは自然との対話を楽しむスポーツ。風が吹けば雨も降るし、ボールは深い茂みに入ることもあれば、木の根っこのすぐそばに止まることもある。しかしどんな状況に陥っても、あるがままに受け入れ、そこからどうリカバリーしていくのか、最善の策を考え、トライ&エラーを繰り返していくところにゴルフの妙味がある。

とはいえ、実際にゴルフをしていると、ついそうした自然を厄介者扱いしてしまうもの。でも、仮にコースから厄介者が何もなくなったら、ゴルフのまったくもって面白いものではなくなってしまうだろう。

ラウンド中、思い通りにいかず苛立ってしまいそうなときはぜひ思い出してもらいたい言葉だ。


ゴルフには唯一絶対の命令がある。
それは“ボールを打て!”

ウォルター・シンプソン


こちらもシンプソンの名著『THE ART OF GOLF』に収録されている言葉。

当たり前のことのように思えるが、これがなかなか実践できない。ただ打てばいいはずなのに、いざボールを前にすると、いろいろな思いが頭をよぎる。

「これを寄せなければ…」「ザックリしないように…」「右に行ったらどうしよう…」「このクラブじゃ大きいかな…」

あれやこれやと考えれば考えるほど、成功の確率は低くなる。ボールに向かったら、心を空っぽにして、ただ打つのみ。

練習場ではナイスショットばかりなのに、本番のラウンドになると思うように打てない、という人は、練習場では何も考えずにできていることが、本番になると考えすぎて失敗している可能性も考えられる。

アドレスに入ったら、ただ「打つ」ことだけを考える。次のラウンドでさっそく実践してみよう。

■サー・ウォルター・シンプソン(1842~1899)

スコットランドの貴族にして哲学者。ゴルファーとしての戦績は残されていないが、1887年に上梓された『THE ART OF GOLF』は史上初めての本格的ゴルフ書として不朽の名声を得ている。トム・モリスやウィリー・パークといった偉大なプレーヤーにも影響を与えている。