【キミこそ王子だ】Vol.307 安定したドローボールで四国チャンプに駆け上がった女子高生!
雑巾王子こと武市悦宏プロが、全国の有望なジュニアゴルファーのもとを訪れ、大人ゴルファーにも役に立つゴルフのヒントを探る当連載。今回の王女候補は、愛媛県出身、生光学園高等学校2年の高岸鈴さん。「四国女子アマチュア選手権」で優勝した彼女のスウィングに、自身との共通点を見つけた武市。そのポイントを語ってもらった。
今回の王女候補
高岸 鈴さん
みつい・ゆな ●主な戦歴/2023四国女子アマチュア選手権優勝 ●ベストスコア 65(ダンロップGC) ●トレーニング/週2~3回 体幹%ウェイト ●練習/週6回2時間200球
ゴルフに熱中していた父親の勧めで高岸鈴さんがクラブを握ったのは9歳。最初は全く面白くなかったが、「プロになったらお金をたくさんもらえるぞ」という父親の甘い言葉につられてがんばったという。その結果、今年、四国チャンピオンまで駆け上がった。
「お金を稼げば、好きなモノを好きなだけ食べられるかなと思って」
と笑う鈴さん。
「“ニンジン”をぶら下げられたわけだね(笑)。ちなみに何が好きなの?」
「焼き肉です!」
なかでも目がないのはタン。「タンまみれになりたい」というほど愛しているそうだ。
そんな鈴さん、愛媛の親元を離れ徳島の高校で寮生活をして、お昼のお弁当は自分で作っているという。
「高校でゴルフ部の仲間と切磋琢磨するようになってから、ゴルフが俄然好きになりました」
その表情や練習風景から、武市にも楽しさが伝わったようだ。
「いいね~。軸がブレずにしっかり振れている。ほどよいドローで、飛距離も出るし。スウィング中、何か意識していることはある?」
「以前は、下から上にあおるようなスウィングで安定感がありませんでした。それを直すために、筒の中に入っている感覚で振っています」
「よく軸ブレやスウェイを防ぐために、『細い筒の中で振るイメージをしろ』というレッスン表現があるけど、鈴ちゃんの場合も同じなんだね。その体の幅からはみ出ないように打つことで、クラブを下からあおらずに軸を保ったスウィングを習得したわけだ。あと、気づいたことがあるんだけど、クラブヘッドを浮かせてアドレスするでしょ、これは?」
「試行錯誤しているうちに、そうなりました」
「実はボクも昔ヘッドを浮かせるホバリングをしてアドレスするようにしたんだよ」
「そうなんですか?」
「ボクは、SWからドライバーまでボール1個分、ヘッドを浮かせて構えていたよ。メリットはふたつ。ひとつはヘッドを浮かせることで、バックスィングの始動がスムーズになる。ふたつ目は、インパクトでの振り抜きが良くなること。鈴ちゃんも、この浮かせて構えることの特性を上手に利用して、ヘッドがスムーズに振り切れるから下からあおる振り遅れがなくなったんだね。今は、いいタイミングで球をとらえることができているので、ドローボールの曲がり幅も安定。ビッグドライブでアドバンテージをとることができている」
と武市は解説した。
最後に鈴さんは、ゴルフが好きな理由を次のように語ってくれた。
「ゴルフは正解がないので、飽きません。たぶん一生続けると思います」
「同感!!」
意気投合したふたり。きっと近い将来、プロとなり鈴さん念願の“タンまみれ”を実現させるはずだ。
週刊ゴルフダイジェスト2023年8月15日号より