【キミこそ王子だ】Vol.44 畑岡奈紗「自己流ホース素振りで悪いクセを一蹴!?」
雑巾王子こと武市悦宏プロが、全国の有望なジュニアゴルファーのもとを訪れ、大人ゴルファーにも役に立つゴルフのヒントを探る当連載。今週の王女候補は中嶋常幸プロのダイナミックなスウィングに憧れる高校2年生、畑岡奈紗さんだ。今年ナショナルチーム候補選手に選ばれた有望株。彼女の絶好調ゴルフに武市が迫る。
今回の王女候補
畑岡 奈紗さん
はたおか・なさ ●主な戦歴/主な戦歴 2015APGCジュニアゴルフ選手権女子個人 優勝、2014日本ジュニアゴルフ選手権15歳~17歳の部 2位 ●ベストスコア65(茨城GC西コ―ス) ●トレーニング/たまに走るくらい ●練習/毎日300球+ホース素振り
先日、中国で行われたアジア太平洋ゴルフ連盟が主催する「APGAジュニアゴルフ選手権」で、個人優勝を果たした畑岡奈紗さん。JGAナショナルチームとして大活躍に、陰ながら応援していた武市は大感激!
実は、その数日前、武市一行は畑岡さんを取材していた。そのとき、「ドローのクセをなおし、フェードにしてから調子がいい」と言っていたので、期待していたのだ。
取材では、「ドローはどうやって直したの?」という武市の質問に、独自の練習法を教えてくれた。
それは、ビニールホースを使ってのゆっくり素振り。ホースは特別なものではなく、ホームセンターで売っているようなものを使用。それを1メートルくらいに切り、素振りをするだけ、というシンプルな練習法なのだが、ひとつだけポイントがあった。
「ボクもホース素振りはやったことあるの。でも、顔に当たって痛くない? 顔が命だからさ(笑)」
「それ振りすぎですよ。わたしはゆっくり振ってます」
畑岡さんの悪いクセは早振りで、ときどき、引っかけてしまうこと。しかし、ホースでゆっくり上げてゆっくり振る練習をしたら、力まかせにクラブを振り回すことがなくなったという。別にホースじゃなくて、クラブをゆっくり振ったらいいのでは? という疑問が湧いてくるが、武市は「いやいや、ホースに意味がある」という。
「体や顔に当たらないように振るっていうことは、ホースをしならせていないってこと。つまり、軟らかいものを軟らかく使わないのが、彼女流のポイントなのよ」
ホースはクラブにくらべて軟らかいので、ビュンと振ると、大きくしなり、その先端は手元より遅れてくる。しかし、畑岡さんはゆっくりと振ることで、しならせないようにしている。結果、ホースの先端が遅れず、体の正面で球をとらえるイメージがつくれる。
「軟らかいものを暴れさせないように振っている。ということは、その先についているヘッドにも余計な動きをさせない。ヘッドをトップからインパクト、要するに上から下へと最短距離で向けられるから飛距離が出せる。さらにクラブが寝ないから曲がりも少ない」
なかなか理にかなった練習法だと感心。
「ボクがかつてホースで素振りをしていたときは、ヘッドスピードを上げるためだった。同じ道具でも、違った意味の練習なんだね。ところで、ホースってちょっと、湾曲してるでしょ。アドレスするとき、右曲がりにしてる?それとも左曲がりにしてる?」
「右……いや、左? あれ、わたしどっちだ? あ! 下向きです」
「ええええ!!! なんで?」
「なんとなく…」
「いや、理由があるでしょ。なんで、なんで?」
妙なところにこだわり、ちょっぴりあきれられてしまう武市。
「たぶん、よりゆっくり振らないといけないイメージが出るんだろう、たぶん……」
週刊ゴルフダイジェスト2015年10月13日号より