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【キミこそ王子だ】Vol.305 中3ながら日本アマチュアゴルフ選手権に出場。独学で身に付けた最強ショットメーカー

雑巾王子こと武市悦宏プロが、全国の有望なジュニアゴルファーのもとを訪れ、大人ゴルファーにも役に立つゴルフのヒントを探る当連載。今回の王子候補は大阪府出身、枚方市立山田中学校3年、小川琥太郎くん。今年は中学生ながら「日本アマチュアゴルフ選手権」に出場。着実にステップアップしている彼の武器とは? 武市が解説。

小川琥太郎

今回の王子候補

小川 琥太郎さん

おがわ・こたろう ●主な戦歴/2023 関西中学校ゴルフ選手権 優勝 ●ベストスコア 64(福知山CC) ●トレーニング/ランニング2〜5キロ、少し体幹トレーニング ●練習/毎日400球を3時間


4歳でゴルフを始めた小川琥太郎くん。最初に握ったのは、ジュニア用の7番アイアン。しばらくはそれ1本で練習して基礎を固めた。グリップやアドレスなどは、ゴルフ好きの父親に教わったが、あとはほぼ独学。始めたころは、単純に球を打つのが好きだった琥太郎くんだが、小4のときに試合に出場し、周りに刺激を受けてからギアが一段階UP! 「ただ打つのではなく、どうやったらもっと上達するのか自分で考えるようになり、さらにゴルフが面白くなりました」という。

そんな琥太郎くんの特徴はステディなゴルフ。この日も出場した試合で最終日パープレーで回り見事優勝。

「おめでとう」

ホールアウト後に声をかけた。


「3位くらいかな? と思っていたんですが。よかったです」

「いや、ボクは勝つと思ってたよ。球は決して飛ぶほうではないけど、安定感がズバ抜けている」と武市は称賛。

その後、近くの練習場に移動し、じっくりスウィングを拝見させてもらうと、さらに彼の上手さがわかった。

「球のコントロールが上手いね! 左手を掌屈(手のひら側に手首を折る)させ、インパクトでボールを押し込むようにして打つから、インパクトゾーンが長いのが特徴。掌屈のメリットはフェースローテーションが抑えられることなんだけど、琥太郎くんの球もめちゃくちゃ方向性がいい。球が曲がる気配がないから、試合でも安心して見ていられるよ。掌屈は意識的にしているの?」

「いいえ、特にしていません」

「なるほど。琥太郎くんは、まったく無理なく掌屈してて、意図的に作った掌屈よりもナチュラルだから動き全体もスムーズ。柔軟性も力強さも兼ね備えた、いい動きだね」

小学生のとき、水泳をやっていたことも好影響となっているのかもしれない。

「じゃあ、スウィング中、気を付けていることはある?」

「ダウンスウィングで右足のかかとが浮かないようにしています」

「そうだね。左手首を掌屈させているので、クラブフェースが開きにくいとはいえ、右足のかかとが早めに浮いてしまうと、クラブがアウトサイドから入ってきてしまうからね。でも琥太郎くんは、そこをきちっと理解して、意識的にインパクトまで踏ん張っている。だから、体が開かず正面で球をとらえることができるんだね。ほぼ独学で、このスウィングを身に付けたのはスゴイね」

「ありがとうございます」

「同級生は琥太郎くんが、ゴルフがめっちゃ上手いこと知っているの?」

「試合で優勝しても『へーそうなんだ』ってくらいな感じです(笑)。でも、体育の先生はゴルフが好きなので、注目してくれています。たまにスウィングのアドバイスを求められることもあります(笑)」

将来はまだ決めていないそうだが、プロになっても、別の道を歩んでも、きっと成功するはず。明朗快活な琥太郎くんから、そんな幸せオーラを感じとった武市であった。

週刊ゴルフダイジェスト2023年7月25日号より