【キミこそ王子だ】Vol.303 中部ジュニアチャンプの強さの秘密は一定リズムとキャスティング
雑巾王子こと武市悦宏プロが、全国の有望なジュニアゴルファーのもとを訪れ、大人ゴルファーにも役に立つゴルフのヒントを探る当連載。今回の王女候補は愛知県出身、名古屋市立守山北中学校3年の中山凛花さんだ。「中部ジュニアゴルフ選手権」優勝をはじめ、中部地区でトップクラスの成績を誇る彼女の魅力を武市が徹底解剖!
今回の王女候補
中山 凛花さん
なかやま・りんか ●主な戦歴/2022中部ジュニアゴルフ選手権 優勝 ●ベストスコア 65(セントクリークGC) ●トレーニング/体幹トレーニング(月4回) ●練習/毎日(球数は気分次第)
子どものころから活動的だった中山凛花さん。小4でゴルフを始めると、すぐに夢中になった。水泳、バレエ、ピアノ、ダンス、習字……などそれまで行っていた数々の習い事をスパッとやめゴルフ一本に絞った。
小学生時代は、球が曲がるのを嫌い、合わせるような打ち方だったが、中学に入り方針を変更。
「これからの時代、飛ばさないと生き残れない」とコーチから言われ、気持ちよく振ることを意識するようになった。すると、徐々に飛距離も伸び、成績へとつながった。中3の現在、中部トップクラスの選手に成長した。
武市が彼女のスウィングを見て、まず思ったのは、リズムのよさ。
「ゴルフは動いているボールを打つのと違って、止まっているボールを打つよね。アドレスからスウィングを始めるキッカケは自分次第。これが意外と難しく、スムーズに動けない人が多い。その点彼女は、キッカケ作りが上手。アドレスから重心をいったん左足に移し、そこからバックスウィングで体重を右足に。そして、切り返しからインパクトにかけて再び体重を左足に。この左→右→左のリズムが常に一定なので、スウィングの再現性が高い。もちろん、体重移動といっても太ももの内側を使っているからスウェイと違い、力が逃げていないのもいい。プレッシャーのかかる大きな試合に強いのも納得」
しかし、自身は、この点に関し特に意識したことはないと言う。
「スウィング中、足ではなく手のほうに意識があります」
「ダウンスウィングでグリップエンドを体に引き付けるのではなく、キャスティング、つまり切り返しでグリップエンドが飛球線反対方向を向くように振っているように見えるけど、それを意識的にやっているわけだね。それは、振り遅れないようにするため?」
「そうです。昔、振り遅れに悩んでいたので。素振りをたくさんして、その動きを身につけました」
「キャスティングのメリットは、インパクトで手が構えたところよりも前に出すぎないことだから、凛花ちゃんの目的と合致しているね。ハンドファーストに打ちたい人が多いけど、手が前に出ると振り遅れたり、ロフトがつぶれすぎて狙い通りの球が打てないこともある。でも、凛花ちゃんの打ち方なら、ロフト通りの球が打てるし、リズムもいいのでどんなときでも同じ球が打てる。そこが強みだと思う」
目標にしているのは、岩井ツインズの妹の千怜プロだという。
「彼女たちが中2のころ、取材させてもらったけど、今や人気実力ともに女子プロ界を牽引する存在だもんね」
「私の妹もゴルフをやっているので、姉妹で活躍しているのを見ると憧れます」
「岩井ツインズは当時から光るものがあった。凛花ちゃんも負けてないからがんばってね!」
「ありがとうございます」
明るく元気な凛花ちゃん。きっと近い将来、女子プロ界を盛り上げてくれる存在となるはずだ。
週刊ゴルフダイジェスト2023年7月18日号より