Myゴルフダイジェスト

【“切り返し”改造計画】#3 渋野のトップが高くなったワケ

昨年までのフラットなトップから、手元の位置が高くなった渋野日向子。だが、青木翔コーチはトップを高くすることが目的というわけではなかったという……。

TEXT/Daisei Sugawara PHOTO/Takanori Miki、Tadashi Anezaki、Hiroyuki Okazawa、Shinji Osawa  THANKS/春日台CC、樫山ゴルフランド、トータルゴルフフィットネス

解説/青木翔

あおき・しょう。1983年生まれ、福岡県出身。19年 渋野日向子を全英女子オープン優勝へ導いたプロコーチ。2023年から再びタッグを組んでいる

●CONTENTS●
1. ミスの9割は切り返しが原因
2.「打てる形」はできている?
3. 渋野日向子のトップが高くなった理由
4. 重心を低く! 比嘉真美子の工夫
5. 理想の切り返しを手に入れる3つの素振り

打ちたい弾道から
逆算して考える

切り返し後、上げたプレーンより低いところをクラブが通れば、軌道は自然にイン‐アウト(あるいはイン‐イン)になり、入射角もゆるやかになる。スタート位置(トップの手の高さ)が高ければ、プレーンが起き上がり(アップライトになり)、低ければプレーンが寝る(フラットになる)。今シーズンから青木コーチと再びタッグを組む渋野日向子は、トップ位置が高くなったと言われているが、

「トップを高くしようとしたわけではなくて、彼女の打ちたい理想の球(高弾道ドロー)から逆算して、手の位置が変わったというだけなんです」と、青木コーチは言う。

あくまでも大事なのは、切り返す瞬間に「打てる形」になっているかどうか。渋野のトップは、他のプロと比較するとまだまだ低い。つまり、「打てる形」は人それぞれということで、自分が一番強く叩ける形を見つけることが重要なのだ。


渋野日向子の1Wスウィング

昨年はかなりフラットだった

トップで手が低くなるほど軌道はフラットになる。ドライバーではさほど問題にならないが、アイアンでスピンの利いた球を打つのは難しい

理想の弾道から逆算したら
自然とトップが高くなった

渋野が理想とするのは「ハイドロー」。これをアイアンでも実現し、なおかつスピンが利いた球にするには、フラットな軌道では難しい。理想的な入射角を得るためには、どの程度アップライトにすればいいのか、そのためには切り返しで手がどこにあればいいのか、逆算しながらスウィングを修正していった。

必ずしも手が高ければ飛ぶわけではない

トップの手の位置が高いほど「飛ぶ」と勘違いしている人も多いが、重要なのは自分にとってその高さが“打てる形”になっているかどうか。試行錯誤しながら、自分にとって最適な高さを探っていこう

>>比嘉真美子がドライバーの不調を克服するため
意識したポイントとは?

月刊ゴルフダイジェスト2023年6月号より