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「道具を大事にしない子は上手くなれない」その理由、ちゃんと説明できますか?

TEXT/SHOTANOW

メジャーチャンプ・渋野日向子を育てた青木翔が“コーチング”のこだわりを語る連載「笑顔のレシピ」。ゴルフだけでなく、仕事や育児などでも役立つヒントが満載!

子どものころ、「道具を大事にしないと、上手くならない」と言われたことはありませんか。スポーツ以外の、書道や音楽なんかでもよく聞くこの言葉。古びた格言っぽいのですが、僕の経験則では、これは間違いありません。

大人になれば、なんとなく「道具を丁寧に扱う」ことと、「上達具合」に相関性がありそうだというのはわかると思います。でも、いざ子どもから「なんの関係があるの?」と聞かれると、返答に困るという人もいるのではないでしょうか。
 
そこで僕なりの答えを一つ。ゴルフは個人競技ということもあり、自分をコントロールすることが求められます。感情をコントロールし、冷静にプレーする。時間をコントロールし、プレーの進行を遅らせない、などなど。道具を大事にするということは、そういったコントロールを身に付けるトレーニングなのです。ミスの後、道具への八つ当たりをしないためには感情をコントロールしなくてはなりません。また、手入れの時間を確保するためには、決められた時間の中で他のやるべきことを調整する時間のコントロールが必要です。

コントロールとは、いわば自分で計画をし、やり遂げる力です。それを親や指導者が代わりにやってしまうと、いざ独り立ちをしたときに自分で生活をコントロールできません。そんな選手が、計画的に練習をこなしたり、調整ができるでしょうか。

もう1つ、道具を大事にすることで、プレーとは違った視点でゴルフと向き合うことができます。試合や練習では目の前のショットやスコアに集中をします。そのため、一歩引いた客観的な視点やアイデアが生まれにくい。でも道具の手入れや整理をしている時間は、試合や練習とは違うテンションでゴルフのことを考えられます。あらためて考える時間を作るのは腰が重くなりがちですが、日々行う道具のケアの時間なら、自然にゴルフと向き合うことができ、考える習慣も身につきます。

上手くいかないからといって道具にあたるなんてもってのほか(PHOTO/Hiroaki Arihara)

青木翔
あおきしょう。1983年生まれ。福岡県出身。渋野日向子をメジャーチャンプに導き、三ヶ島かななどツアープロや、全国トップレベルのジュニアゴルファーの育成に努めている

週刊ゴルフダイジェスト2021年2月23日号より

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