Myゴルフダイジェスト

  • ホーム
  • 週刊GD
  • 【キミこそ王子だ】Vol.298「すべての番手でリズムが同じ!」インドアでスウィングを築き上げた山口の未来の星

【キミこそ王子だ】Vol.298「すべての番手でリズムが同じ!」インドアでスウィングを築き上げた山口の未来の星

雑巾王子こと武市悦宏プロが、全国の有望なジュニアゴルファーのもとを訪れ、大人ゴルファーにも役に立つゴルフのヒントを探る当連載。今回の王女候補は山口県出身、長門市立深川中学校2年、小田祐夕さんだ。小学時代から中国地方で抜群の成績を誇る祐夕さんの武器は狙ったところに打てる技術。その秘訣を武市が解説!

今回の王女候補

小田 祐夕さん

おだ・ゆうゆ ●主な戦歴/2022 中国ジュニアゴルフ選手権 2位 ●ベストスコア 69(広島C西条コース) ●トレーニング/週1回体幹トレーニング ●練習/2~3時間


小田祐夕さんがゴルフを始めたのは3歳。父親が「目標に向かって、本気で打ち込めるものを持ってほしい」という願いを込め、クラブを握らせたのがキッカケ。祐夕さんも、すぐにゴルフが好きになり、プロゴルファーになるのが夢となった。そんな娘の夢を全力で応援する父親は、なんとインドアゴルフ施設を造り経営。祐夕さんは、そこで練習している。

「山口県の日本海側にある自宅付近はゴルフ場も練習場も少なく、練習するのには不便でした」

「それで造ったわけね! お父さんすごいね~。そこで、どういう練習しているの?」

「施設の所属プロに教わったり、弾道計測器で球筋をチェックしたり、シミュレーションゴルフでラウンドしたりといろいろです」

「最高だね! めっちゃ楽しそう」

「はい。練習は好きです」

抜群の環境でゴルフ力を培った祐夕さんは、全身を使った力強いスウィングが特徴だ。


「振り切っているところがスバラシイ。でも、ボクが一番いいと思うところはリズム感。体がスムーズに動いていて、見ていて気持ちがいい。もしかすると音楽やダンスのリズム感は持って生まれたものなのかもしれない。でも、ゴルフの場合は意識的に改善することは可能だよね。それはムダなアクションをなくし、動きをシンプルにすること。そのお手本が祐夕ちゃんだね。普通、華奢な体形の人が重たいクラブを持つと、スタンス幅を広くして反動をつけて上げてしまいがち。でも祐夕ちゃんはスタンスが狭めで体重移動に伴う体の揺れが少なく、イチ・ニのリズムでバックスウィングできている。さらに、ハンドダウンかつハンドファーストで構えるのが特徴的なんだけど、その際できた肩と両腕の形がスウィング中、大きく崩れないのがいいよね。ダウンでワキが開いたり手首をコネたりがまったくなく、ムダな動きがないからリズムよく見えるんだね」

さらに、彼女のスバラシイところは、全番手同じリズムで打てること。

「リズムが一緒ということは、体の動きも一緒ということ。だから、当然球筋も安定する。ときどき、ドライバーはフェードだけど、アイアンは真っすぐという人もいる。でも祐夕ちゃんは、全番手とにかくドロー。狙ったところに打てるから、コースマネジメントもしやすいよね」


傾斜や気象条件が一定のシュミュレーションゴルフでのベストスコアは60だそうだ。

「普通は飛ばしたいときに、よくミスしちゃうでしょ。それは、スウィングが悪いというよりも、切り返しが早くなったとかリズムが狂うからだよね。だから、ゴルフにとってリズムは大事な要素。祐夕ちゃんはまだ中2だから、これからスウィングも変わっていくかもしれない。でも、このリズム感のよさは大事にしてほしいかな」

「ありがとうございます」

山口県出身のプロゴルファーは、これまでそれほど多くないが、近い将来、きっと彼女が山口県を代表する選手になってくれるはず。そう確信する武市であった。

週刊ゴルフダイジェスト2023年5月2日号より