【キミこそ王子だ】Vol.297「目標は“稼げる”プロ」スウィングも性格も気持ちいい四国の逸材
雑巾王子こと武市悦宏プロが、全国の有望なジュニアゴルファーのもとを訪れ、大人ゴルファーにも役に立つゴルフのヒントを探る当連載。今回の王子候補は愛媛県出身、生光学園高等学校、新1年生の篠原和樹くん。レベルの高い四国勢のなかでもトップクラスの成績を誇る和樹くん。一体どんな点が優れているのか? 武市が解き明かす。
今回の王子候補
篠原 和樹くん
しのはら・かずき ●主な戦歴/2022 日本ジュニアゴルフ選手権 12歳~14歳の部 4位タイ ●ベストスコア 65(黒潮CC) ●トレーニング/特にやっていなかったが高校ではがんばる予定 ●練習/中学までは自宅の鳥カゴで毎日30分
篠原和樹くんがゴルフを始めたのは6歳。父親の練習に付いていくうち自然とクラブを握っていたという。
「コーチはいません。手ほどきを受けたのは父ですが、途中から自分で試行錯誤しながら、今のスウィングを身に付けました」
調子を崩したときの対処法は「ひたすら練習!」とのことだ。
練習風景を覗くと1打1打フォームやデータを確認するスタイルではなく、次から次へとリズムよく打っていく姿が印象的だ。
武市はそれを見て、「気持ちよく振りちぎっているね~。打球にも勢いがあって、“生きた球”って感じ」と目を細める。
「よどみなく振れるってことは、いいフォームってこと。体への負担も少ないはずだし、何より楽しい! スウィングで一番重要なのは『気持ちよく振ること』。ボクはこの点に尽きると思う。そういう意味で和樹くんのスウィングは100点だよ」
「ありがとうございます!」
「何か自分なりに気を付けているところはある?」
「アドレスで猫背になりすぎないとか、頭が下がらないようにとか……そのくらいっすかね」
ドライバーの飛距離は270ヤード。小柄で細身の体格の、一体どこにパワーが潜んでいるのだろうか?
「注目はインパクト。両足が地面から離れるほどジャンプしてるように見える。これは地面反力を使ったスウィングの典型的なカタチ。でも、いきなりインパクトで地面を蹴ってもこうはならない。そこで、もうひとつ注目してほしいのが右足。テークバックで外へ逃げそうな力を、内転筋が踏ん張ってる。そうしてためたパワーをインパクトで地面を蹴り一気に放出。その力が地面反力で跳ね返り回転力へと変換される。持てる力を最大限に利用したスウィングだね。あと目とボールの距離を一定に保っているから、右サイドが崩れたり、突っ込んだりすることもなく、構えた位置にちゃんとクラブが戻ってくる。ただ気持ちよく振っているだけではなく理にも適っている!」
この春、愛媛県の親元を離れ、徳島県の高校で寮生活をスタートさせた和樹くん。
「今までは地元の友達とつるんで遊ぶのが好きでしたが、これからはゴルフとしっかり向き合い、プロを目指してがんばります!」
と意気込みを語ってくれた。
目標は「お金を稼ぐプロ」とのこと。
「使い道は?」
「バイクを買いたいです。カワサキのZ2とか欲しいっす」
「16歳になったら免許取るの?」
「いえ3年間はゴルフだけを考えます!」
「応援するよ。でも考えすぎは禁物。気持ちよく振る感覚を忘れずにね」
とエールを送る武市であった。
週刊ゴルフダイジェスト2023年4月18日号より