【ゴルフはつづくよどこまでも】Vol.125「本当にゴルフを楽しめてますか?」
高松志門の一番弟子として、感性を重んじるゴルフで長く活躍を続ける奥田靖己。今週もゴルフの奥深い世界へと足を踏み入れていく。
PHOTO/Takanori Miki
以前、スコアにこだわるからゴルフは上手くならんいう話をしましたが、これは、「あなたそれで本当にゴルフを楽しめてはりますか?」ということと深く関わることなんです。
ゴルフ発祥当時から長いこと行われてきたマッチプレーの場合、仮にあるホールで大叩きして負けても他のホールで挽回ができる、だから強気に攻めることができます。
ところがその後ストロークプレー形式が定着すると、18ホール終了時のスコアの多い少ないで勝敗が決まるのでスコアに縛られるようになり、「叩かない」ほうがよいという考え方が出てくるわけです。
つまり、アグレッシブにバーディを取るリスクは避けて、パーを確保するセーフティなゴルフをする、それがマネジメントいうことになるわけです。でも果たしてそれで面白いんかということなんですわ。
考えてみてください。池越えギリギリのショットをチャレンジしたときのドキドキ感や成功したときの何とも言えぬ高揚感。たとえ失敗しても逃げずに挑戦したことで教訓めいたことでも何でもいいから得られるはずです。
でもスコアを気にして、池に入ってダボやトリプルにしないためにだけ、刻んでパーを取りにいく。もちろん結果的にそうしたほうがよかったことはいっぱいあるだろうけれど、何をもって自分がよかったと思えるか。本当にゴルフをしておって、これは楽しいんかなと、一回、自分に聞いてみたらどうでしょう。
今日は68で回った、ベストスコアが出た、それで果たして楽しかったか、いや苦しかった。プロやったらそれで賞金を稼げたなら、それが目的だからいいけれど。
アマチュアの人で試合やなくてプライベートで回ったときには、スコアよりあのホールであんなショットが打てたというほうが楽しいし嬉しいと思うことはあるはずです。
楽しいと思うとストレスが減り脳は伸び伸びとパフォーマンスを発揮するいうのは何かを学習するときの基本です。
OBを4連続でやって、それでも何かつかむんがいいのか。逃げて何もつかめんのがいいのか。つかんだほうが次のラウンドが楽しみになりませんか。
「逃げずに挑戦してみると、何かをつかめるはずです」
奥田靖己
おくだせいき。1960年、大阪生まれ。93年日本オープンなど6勝。シニアで2勝。ゴルフの侘び寂び、温故知新を追求する
週刊ゴルフダイジェスト2023年4月18日号より