【名手の名言】ウォルター・ヘーゲン「弓が折れては矢は飛ばぬ」
レジェンドと呼ばれるゴルフの名手たちは、その言葉にも重みがある。ゴルフに限らず、仕事や人生におけるヒントが詰まった「名手の名言」。今回はプロゴルファーの地位を確立した伝説的名手、ウォルター・へーゲンの言葉を2つご紹介!
ほんのしばらくいるだけだ。
焦るな、案ずるな。
花があったら匂いをかぐのだ
ウォルター・へーゲン
20世紀初頭に活躍した伝説的名手、ウォルター・ヘーゲンは、考え方や行動が自由でのびのびしていた。それでいてプレーにもライフスタイルにも華があったという。
前夜のパーティの白いタキシードのまま、ロールスロイスで試合会場に乗りつけたり、プレーではティーショットが大きく曲がり、深いラフの中にもかかわらず、次打ではピンそばにピタリと寄せたり。
メジャーで11勝もしていて、記録にも記憶にも残った人である。初めてプロゴルファーを社会的に認知させた人としても知られる。
表題の言葉は、そんなヘーゲンが放った実に詩的な一節である。
18ホールという短い旅路。あくせくしたり、ミスを引きずって悔やんでいても仕方ない。コースに咲く花を愛でるぐらいの余裕をもって楽しくプレーしようではないか。
ゴルフだけでなく、人生にもそのまま置き換えて受け止められる、ヘーゲンらしい言葉だ。
弓が折れては矢は飛ばぬ
ウォルター・へーゲン
ヘーゲンのいう「弓」とは、左腕のことである。「矢」はボール。
弓が折れてしまったら、当然矢を放つことはできない。それと同じで、トップで左腕が折れ曲がってしまったら、強い球を放つことはできないというわけだ。
たしかに、プロや上級者のスウィングを見ると、トップできれいに左腕が伸びている。一方、アベレージゴルファーのトップは、左ひじが曲がってしまっているケースが多い。深いトップを作りたいが、体が十分に回らないために、ひじを曲げて補おうとするからだろう。
これでは手打ちになり、ヘッドスピードを上げられず、ボールは思うように飛んでくれない。
当のヘーゲン自身は、写真で見ると左腕が少し曲がっていた。これについて問われると「意識して曲げているのではない。クラブの重みで自然に曲がっているだけだ」 と語ったという。
たしかに肩はしっかり回っており、手打ちという印象はない。むしろ、左腕の弓が折れんばかりにぎりぎりとしなり、放たれた弦が矢のごとく鋭くヘッドを走らせている。
腕をピンと伸ばすことを意識するのではなく、弓と矢をイメージしながらスウィングしてみると、ヘーゲンのような力強い球が放てるかもしれない。
■ウォルター・ヘーゲン(1892~1969年)
米国・ニューヨーク生まれ。ツアーだけで生計を立てた最初の人で、プロゴルファーの地位を高めたと評価されている。真っ白なロールスロイス、白いタキシード姿で現れ、車で着替えをしたのは、当時ハウスに入れなかったプロの地位への反抗だったのだろう。ゴルフのスキルは天才的で「ピアニストのタッチと、金庫破りのデリケートさを持った男」と評され、一世を風靡した。全英オープン4回、全米オープン2回、全米プロ5回制覇。ボビー・ジョーンズとはまた違う次元で、ゴルフ史に大きくその名を残している。
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