【ゴルフはつづくよどこまでも】Vol.120「人の動きを読んで動く」
高松志門の一番弟子として、感性を重んじるゴルフで長く活躍を続ける奥田靖己。今週もゴルフの奥深い世界へと足を踏み入れていく。
PHOTO/Yoshikazu Watabe
一緒に回っている同伴競技者の振る舞いによって調子やスコアを崩すことはよくあることで、多いんが打つときに邪魔されるパターンです。
人がパットを打とうとする直前まで、自分のラインを見るためにグリーン上をウロウロしたり、キャディさん呼んだりなんかしてる人、いますね。そうやって邪魔する人に共通するんが、「俺が、俺が」で人のことを見てないいうとこです。
プロアマとかで一緒に回るアマチュアのゲストにも、そういう人はいます。
この前のあるラウンドで1番をバーディスタートした直後の、2番グリーンでのこと。あるアマチュアの人が、両足で僕のラインを踏みながら「お先です」と言ってパットを打ちました。それで僕がやんわりと「すみません、ライン……」と言うと、「あ、踏んでましたか。いやぁ、プロと回るんで緊張してまして」と言って笑ってはりました。
緊張したら踏むんかい、いう話ですけど、そんなことは口には出さず、「お互いに気をつけていきましょ」と軽めに助言をしました。
それでもその人は、ちょっと怒られたような感じになって気まずくなりそうだったので、その後、「僕なんかパッティングは3秒で終わるんで、その間だけちょっと見とってもらったらね」と言うと、「3秒ですか」と驚いたので「ホンマでっせ!」と言って皆を和ませるようにしました。そうしたらバーディ、バーディと続いて組全体の調子がよくなりました。
そんなもんです。
「プレーファスト」にしても同じです。自分が早くしよう思うと気が急いて、人が打っているときに動いてしまうという本末転倒なことをしでかすことになる。これも「自分がどう動く」かばかりに気をとらわれずに、「人の動きを読んで動く」ことをしていればそういうことは起こりません。
たとえば、40秒ルールやったら、最初に打つ人は40秒かけていいけど、2番の人は前の人が打つときに準備ができているわけだから自分は30秒、3番目は20秒で、4番目は10秒。そうやって人の動きと流れに合わせていくと、とにかく早く終わる。
どの組もそれをやったら、プレー時間の短縮は間違いなくできます。
「人を見ること。自分がどう動くかばかりを考えてしまうと、人の邪魔になったりするんですわ」
奥田靖己
おくだせいき。1960年、大阪生まれ。93年日本オープンなど6勝。シニアで2勝。ゴルフの侘び寂び、温故知新を追求する
週刊ゴルフダイジェスト2023年3月14日増刊号より
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