【名手の名言】チチ・ロドリゲス「多くのアマチュアにとって最も優れたウッドは“ペンシル”だ」
レジェンドと呼ばれるゴルフの名手たちは、その言葉にも重みがある。ゴルフに限らず、仕事や人生におけるヒントが詰まった「名手の名言」。今回は“グリーン上の道化師”と呼ばれファンから愛された、チチ・ロドリゲスの言葉を2つご紹介!
多くのアマチュアにとって
バッグの中で最も優れた「ウッド」は
ペンシルだ
チチ・ロドリゲス
米ツアー界で数多くのジョークを放ったのは、“陽気なメキシカン”ことリー・トレビノと、“フェアウェイの道化師”と言われたプエルトリコ出身のチチ・ロドリゲスが双璧だろう。どちらも人種的にマイノリティーで、それが故か、ジョークに託して皮肉とユーモアを散りばめ、コース内外で人気を博した。
“球聖”と称されたボビー・ジョーンズは、その場にいた誰も気づいていなかったルール違反に関し、すすんで自らペナルティーを科し、「スコアをごまかさなった私をほめてくれるのは、銀行強盗をしなかった私をほめてくれるようなものである」という名言を残した。
しかしチチは、このような優等生発言はしない。その代わりに、表題のような言葉でスコアのごまかしを皮肉るのだ。
今ではスコアカードに書き込むのに使う“ペンシル”はプラスチック製が主流だが、昔は木製の鉛筆(ウッド)だった。
ドライバーやフェアウェイウッドなどの「ウッド」を打ちこなしてスコアメイクするのは難しいが、スコアを記入する際に使う「ウッド=鉛筆」なら、簡単にスコアを改ざんできる。
性善説にのっとり、自己申告のスコアで優劣を競うゴルフというゲームの本質を、ボビー・ジョーンズとはまったく違う言い回しで表現した、ウィットに飛んだ言葉だ。
危篤状態から軽症まで
程度の差こそあれ
ゴルフをやる者はすべて病気!
チチ・ロドリゲス
数あるスポーツの趣味のなかで、ゴルフほど病的なまでにどっぷりとハマってしまうスポーツはほかにないかもしれない。
この寒いのに、1月ですでに今年10ラウンド以上しているというゴルファーは周りにもザラにいる。ラウンドの頻度ばかりでなく、ある者は毎月のようにドライバーを買い替え、ある者は暇さえあれば練習場に足を運び、またある者は自宅にシミュレーションゴルフと工房を設えてしまう。
これは趣味としてゴルフを楽しむアマチュアのみならず、ゴルフを生業とするプロゴルファーも同じこと。
幼少の頃に始めたゴルフを、50年以上経っても飽きることなく続け、なお高みを目指して球を打ち続ける。ケガをしても大病を患っても、イップスに苦しめられても、ゴルフの魔力には勝てず、必ずまた芝生の上に舞い戻ってくる。ゴルフをやらない人からすれば、病気を通り越して狂気にも映るだろう。
しかし残念ながら、ゴルフ病はどんな医者にも治せない不治の病。そして医者もまた、この病に侵されていることが多く、それがいっそうゴルフ病の治療を困難なものにしている。
■チチ・ロドリゲス(1935年~)
プエルトリコ生まれ。貧しい家庭に育ち、19歳まで米陸軍キャンプのゴルフ場でキャデイをしながらゴルフを覚える。1960年にプロ入りし、米ツアーに参加。63年にデンバーオープンで初優勝。以来ツアー8勝し、シニア入りしてからも勝利を挙げる。フロリダに母国のジュニアのためのファンデーションをジャック・ニクラスとともに立ち上げるなど、社会的貢献も果たしている。陽気なパフォーマンスから「フェアウェイの道化師」と呼ばれ人気を博した。92年、ゴルフ殿堂入り。
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