【キミこそ王子だ】Vol.291 関西チャンプは文武両道。目標はタイガーと同じ大学に進学すること
雑巾王子こと武市悦宏プロが、全国の有望なジュニアゴルファーのもとを訪れ、大人ゴルファーにも役に立つゴルフのヒントを探る当連載。今年最初の王子候補は、兵庫県出身、大阪教育大学附属高等学校池田校舎1年の船岡誠志郎くんだ。夢はタイガー・ウッズと同じスタンフォード大学に行くこと。そんな文武両道の彼のスウィングとは!?
今回の王子候補
船岡誠志郎さん
ふなおか・せいしろう ●主な戦歴/2022関西高等学校ゴルフ選手権 優勝 ●ベストスコア 66(Kochi黒潮CC) ●トレーニング/週3回体幹トレなど ●練習/週3~4回90分200球
誠志郎くんが初めてゴルフに出合ったのは4歳。なぜかボール遊びが好きになり、家での遊びも玩具よりボールを好んでいたという。中学受験に備え小学生のときは勉強が忙しかったが、たまに出るゴルフの試合を全力でがんばったそうだ。
その努力が実り、関西屈指の進学校へ合格。現在、高校1年の誠志郎くんは、変わらず学業とゴルフの両立を目指し、多忙な日々を送っている。週3日塾に通っているので、毎日ゴルフの練習はできないが、中学3年のときには「日本ジュニアゴルフ選手権」で6位など立派な成績を残している。
そんな彼のスウィングを武市は次のように評した。
「誠志郎くんは飛距離も出るけど、それよりすばらしいのはアイアンの精度。そのポイントは3つ。ひとつは下半身がバタバタせず安定感があること。ふたつ目は肩と両腕が作る三角形が崩れないこと。最後にハンドダウンに構えてから、上体の前傾角度が変わらないこと。この3つがそろえば、クラブが変な方向から下りてくることはまずない。ザ・ショットメーカーって感じ」
「ありがとうございます」
実は昔からショット力には自信がある誠志郎くん。小学5年のとき、パー54のショートコースで45のビッグスコアを叩き出しコースレコードになっているそうだ。
そのスウィングを作っているのは、素振りだ。
「素振りなら空いた時間にできるので毎日やっています」という誠志郎くんに、いつもの素振りを披露してもらった。
「なるほど。マン振りではなく、右腰から左腰までのいわゆるビジネスゾーンの素振りなんだね。両腕にゴムボールを挟んで行う目的はやっぱりミート率アップ?」
「はい。ボクはパターが得意ではないので、とにかくグリーンセンターに乗せておきたいんです。それに、このほうが時間的にも体力的にも負担が少ない分、回数を増やせるので、練習になると思いまして」
「賢い!」
「いえいえ(笑)」
「だって素振りといえば、いたって普通に振るのが定番だからね。だけど、よく考えてみると、その必要がない場合もあるよね。ミート率を上げる目的なら、誠志郎くんのような素振りのほうが断然、効率がいいね。ボールを両腕に挟み、肩と腕が作る三角形の角度を変えずに振ろうとすると、そもそも右腰から左腰までしか振れない。だから、自然と軸ができ体が左右にブレなくなる。曲がりがひどくて悩んでいる人は、試してみる価値があると思う」
最後に、誠志郎くんに将来の目標を聞いてみた。
「アメリカのスタンフォード大学に行くことです」
「タイガーの出身大学だよね」
「相当難関ですが……」
「夢は大きいほうがいい! 応援するからがんばって」
誠実さが顔にもスウィングにも表れている誠志郎くん。「自分にないものを持っていて、カッコイイ!」とすっかりファンになった武市であった。
週刊ゴルフダイジェスト2023年1月24日号より