【わかったなんて言えません】Vol.101 河本力#3「優勝争いでド緊張」
「ゲンちゃん」こと時松隆光がプロを招いてトークをする連載「わかった! なんて言えません」。今週のゲストは前回に続き、バンテリン東海クラシックで早くもプロ2勝目を挙げた河本力プロ。今回は、ここぞというときの「緊張と勝負」についての話。そしてなぜか、特別ゲストとして、あの“曲がらない男”が参戦――!
TEXT/Masaaki Furuya PHOTO/Hiroyuki Okazawa
ホスト/時松隆光
1993年生まれ、福岡県出身。ツアー通算3勝。プロ10年目。テンフィンガーグリップで戦う。愛称は“ゲンちゃん”
ご指名/河本力
2000年生まれ、愛媛県出身。日本体育大学在学中からプロツアーでも優勝争いをするなど大活躍。今年3月に卒業後プロデビューし早くもツアー1勝を挙げる
時松 ほんと、ルーキーイヤーで2勝目はすごい。
河本 ありがとうございます。
時松 改めて、優勝した東海クラシックの15番パー5、力のラフからの2打目は、僕なら奥のバンカーに入れて3打目で寄せワンというプランかなと思って見ていた。それを狙ってもできないスゴい場所にキャリーで落としてピン手前2メートルにつけてのイーグル。あのセカンドショットで流れは力に向いたなと思った。あれは狙ったの?
河本 右から風が来ていたので、右に打てば今日のスウィングの感じだったらドローして勝手に寄っていくと思って打ちました。“たまたま”が重なったミラクルショットですね。
時松 18番パー4の奥からのパットは、同じようなラインを最初に桂っちゃん(桂川有人)が外したので、力は外れてもプレーオフ。あれを先に入れられていたら、また状況は違ったと思うけど、優勝の流れは完全に力のほうに向いていた。
河本 はい。桂(川)さんのラインは参考になりました。
時松 優勝争いでのメンタル面はどうだった。
河本 15番のイーグルで、追う立場から追われる立場に変わった瞬間に「勝てるんじゃないか。さすがに勝ち切らないと」と思って。鼓動がすごかったです。(その後に16、17番と連続ボギーで)緊張したらいいショットが打てないというのがわかって、まだまだだなと感じました。今後の課題です。
「鼓動が速くなった。緊張感のなかでのプレーは課題ですね」(河本)
時松 でも若いうちは誰でも優勝争いのときは緊張するって。実は今日は、なぜか稲森(佑貴)がいるので(笑)、日本オープン男の緊張ぶりを聞いてみよう。2018年の日本オープン優勝時は18番パー3で球が曲がった。「曲がらない男が、エッ!」と思ったもん。プレッシャー?
稲森 チーピンです。1回目の優勝のときはマジでプレッシャーでした。17番ホールまでは覚えているんですけど、18番のティーショットは覚えてないです。
時松 2打目のバンカー越えのショットもヘロヘロだったね。
稲森 3打目がOKに寄って。次の2メートルのパットは人生一苦しいボギーパットでした。
時松 そりゃあ緊張するよね。
稲森 源さんの優勝はどういうパターンでした?
時松 福島オープンは最終日トップスタートの逃げ切り。関西オープンは最終日アマチュアの久保田皓也くんがトップで、彼は朝からティーに球が乗せられなくて、それを必死に隠していた。それを見て「これは、待っていれば崩れるだろうな」と。案の定、彼が落ちてきて、後は最終組で一緒に回っている(今平)周吾さんと僕との一騎打ちという展開。だから、優勝争いで緊張しないと言ったらウソになるけど、でも、それを出さないというのが強さの証明かなと思う。
河本 あ、でも僕は小・中学生の頃に時松さんの試合でのプレーを何回か見たことがあるんですけど、そのときの印象はすごいポーカーフェースでした。
時松 それは自分ではわからないけど。
河本 時松さんが顔に出さないポーカーフェースの勝負師だと思うのは誰ですか。
時松 それは(池田)勇太さんでしょ。雰囲気がずっと一緒なんで、よい意味で何考えているのかわからないというのが相手からしたら怖いと思う。
稲森 僕は今平(周吾)さんです。
時松 確かに、怖いね。
稲森 以前今平さんに、ミスショットの原因に関して聞いたとき、「失敗する気がしないから、何とも言えないなあ」って。もう全部上手くいくわけですよ。
河本 メチャメチャ上手いですもんね。
時松 でも力は、飛距離という武器があるわけだから、イケイケのまま場数を踏んでいけば、そういう緊張するなかでも力が出せるようになると思う。
稲森 飛距離を分けてほしいくらい。ISPSのときに一緒に回ったけど、マジで100ヤードくらい置いていかれた(笑)。
時松 稲森はデシャンボーとも回っているよね。
稲森 たぶん力くんといい勝負になると思うので、一度対決してもらいたいね。
河本 絶対に勝てないですよ。ボールスピードで221マイルなんて出ないです。
稲森 デシャンボーはアイアンも飛ぶ。230ヤードのティーショットを6番アイアンで打った。
河本 すごいですね、それは。僕なら4番アイアンです。どんなに気合が入っても6番で230ヤードはいかない。でも、近づきたいとは思いますね。
時松 それでトレーニングとかやってるからね。
稲森 きっといける。僕なんか、「ここはクリークでいいよね」ってキャディに確認したから。感覚が完全にマヒ。
時松 それもゴルフ。4人で回ったら、面白そうだね。
週刊ゴルフダイジェスト2022月11月8日号より