Myゴルフダイジェスト

【PGAツアーHOTLINE】Vol.38 LIVに対抗するためPGAツアー選手たちが一致団結

PGAツアーアジア担当ディレクターのコーリー・ヨシムラさんが米ツアーのホットな情報をお届けする隔週連載「PGAツアーHOTLINE」。第38回のテーマは「LIVゴルフ」に対するPGAツアー選手たちの動きについて。

ARRANGE/Mika Kawano PHOTO/Blue Sky Photos

一匹狼たちが一致団結して助け合う

盛況に見えるPGAツアーですが、競合する新リーグ=LIVゴルフの出現でトッププロたちは危機感を共有しているようです。

タイガー・ウッズの生涯獲得賞金1億2000万ドル(約170億円)を超える移籍金で、ツアーから選手を引き抜くLIVゴルフに対抗するため立ち上がったのは組織としてのツアーだけでなく選手たちも同様でした。

彼らはより良いツアーにするための策を練り、改革に向けて走り出しています。究極の一匹オオカミたちが熾烈な競争を繰り広げる世界で、ツアーメンバーたちが一致団結するのは前代未聞といってもいい出来事。先導するのはローリー・マキロイです。

「独立した個人事業主である我々がお互いの利益のためにビジネスパートナーになる。ツアーを助けお互いを助け合う。なぜなら我々はゴルフというスポーツの未来に関心を持ち、その歴史やレガシーを大切に思っているからです」(マキロイ)


ツアーのポリシーボード(政策委員会)のメンバーであるマキロイに賛同するのは、J・トーマス、J・スピース、X・シェウフェレ、J・ラーム、S・シェフラーらトップ中のトップたちです。

8月に行われた選手ミーティングにはタイガー・ウッズを交じえた22人が参加し、「ツアーにとって最善は何か? 50年先もツアーが繁栄を続けるためには何が必要なのか?」が話し合われました。

「ひとりひとりの熱い思いが選手同士の結束につながっている」とスピースは言います。

では具体的にツアーはどう変わるのでしょう? とりあえず22-23シーズンは前シーズンとほぼ同じスケジュールが組まれていますが、大きく変わるのは24年シーズンから。フォールシリーズを行わず1月から8月の暦年シーズンに戻ります。

4大メジャーを含む17試合を『エレベイテッドステータス』と位置づけ、1試合当たりの賞金総額は2000万ドル(約28億円/優勝賞金5億円)以上。トッププロたちはこれらを含む20試合に出場します。つまりメジャー級のフィールドが年間を通して見られることになります。

そのほかツアーの未来に関わる具体的な変化については、次回詳しく解説しましょう。

選手ミーティングにはタイガー・ウッズも参加。タイガーは全英オープン以来、試合には出ていなかったが、PGAツアーが直面した危機を救うべく、公の場に現れた

コーリー・ヨシムラ

PGAツアーのアジア全体のマーケティング&コミュニケーションディレクター。米ユタ州ソルトレーク出身でゴルフはHC6の腕前

週刊ゴルフダイジェスト2022年11月1日号より