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【新・待ってろ、ウエハラ!】Vol.11「トーナメント会場で学んだ“気持ちの切り替え方”」

大畑大介と上原浩治との「ゴルフ対決」は上原に軍配が上がったはずだったが「あれは本番ではなかった」と言い張りだした大畑。パート1で出会った青木翔を“専属コーチ”に任命し、再修行を開始。すると、技術の引き出しは薬箪笥並みに増え、小学生との対決で勝負の勘所も明確に。さあ、本番は近いぞ! 

ILLUST/Koki Hashimoto TEXT/SHOTANOW PHOTO/Hiroyuki Okazawa THANKS/ゴルフ5レディス

前回のお話はこちら

オレは昔から要領よくやるのが大の得意だった。勉強でも実家のパン屋の手伝いでも、もちろんラグビーでも、なんかできないことがあると「どうやったらもっと上手にこなせるんやろ」ってことをまず考えてたな。
大切なのはまずは観察すること。上手くやっている人を見れば「ここをパクったろ」ってなるし、失敗している人を見ると「あれをもう少し変えれば、良いんだな」っていうのが頭に浮かぶ。見てて学びがあるのは、やっぱりトップレベルの人やね。それは結果が成功でも失敗でも、そこに至るまで超考えてるから。教科書を読むより、そういう人の行動を見るほうが、100倍勉強になる。
そんなオレの特技を知ってか知らずか、今回は最高の舞台で「見て学ぶ」機会をもらった。せっかくやしガツガツ聞いたろ。またオレが一歩リードしてしまうで。待ってろ、上原!


ちゃっかりとベストスコアを更新

小6のスーパー小学生、大槻呼幸ちゃんとの対決で惜敗(?)した大畑。青木コーチは、「もう僕から教えることはありませんから」と大畑を認めたのか匙を投げたのかわからない一言を残して去ってしまった。が、数日後「プロのプレーを見てきて」と突然のツアー見学指令が下った。

大畑 ついにオレは全てを吸収して、もう何も教わることはない境地まで達してしまったのか。上原には秘密やけど、この前もベストスコア「82」が出たし、上達する一方やな。

ご機嫌の大畑が向かったのは、ゴルフ5レディスの会場。スポンサーでもあるアルペンのご厚意で、同社所属である穴井詩プロの独占インタビューの時間までもらったのだが、それが初日のラウンド終了後という、ややピリッとした状況で、スタッフ一同は手汗が止まらない……。

「練習場はみんな自分の世界に入っている。それぞれのスタイルがあるね」(大畑)。青木コーチ不在のせいか(?)やけにしっかりコメントする大畑

大畑 みんな、今日はやたら緊張してるね。そんなビクついとったらもったいないで。オレはラウンド前の練習を見て早速ヒントをゲットしたわ。プロって、ほかの選手を見ないのね。オレ、練習場に行くと隣の人の飛距離とか気になってしょうがないけど、そんな選手は一人もおらんかったな。でも逆にラウンド中、ティーイングエリアで待ち時間があると、結構しゃべったりしてるのよ。この「気持ちのオフ」は覚えないとあかんな。ラグビーは始まる前から終わりまでスイッチ入れっぱなしやから、そもそも切り方がわからん。穴井プロに聞いてみよ!

一通りプレーを見学し「ほぉ」とか「ふむふむ」とか、なにやらヒントを見つけた様子の大畑。プレー後の穴井プロに、インタビュー開始。


悪い要因を把握することが大事

大畑 2オーバーでのフィニッシュでしたが、今日は雨もあってなかなか調子が出なかった感じですか?

穴井 いや、実はそんなこともなくてショットはだいぶ良かったんです。バーディチャンスも作れてたし。

大畑 パットが悪かった?

穴井 いや、パットもまずまずでした。グリーンの読みが合いませんでしたね。

大畑 ホールアウト直後なのに、ズバリ悪かった理由がわかっちゃってるんですね。

穴井 ラウンド中は悪いことも、いいことも起こります。いくらチャンスを作ってもバーディが来ないこともあるし、逆にダメだなという日でも結果が残ることもある。大事なのは、何が悪くて何が良かったかをわかっておくことですね。

大畑 確かに穴井プロのほかにも何人か見たけど、ミスった後とかスコアを落とした後に、うなだれとる選手はおらんかったな。あんま悔しくないのかと思ってたわ。

穴井 悔しいですよ(笑)。ただ、例えば出だしが悪くても、取り返せると思って引きずらないことが大事。特に大畑さんがやられるマッチプレーは、自分がミスしてへこんでたら、相手が有利になるだけですからね。ショットの後に振り返りをする癖をつければ、それ自体が気持ちのリセットにつながります。

大畑 結果が悪くていちいちへこんでたら、相手のペースにハマるだけっちゅーことやね。切り替え術、いただきました!

「マッチで相手にプレッシャーをかけたいんです」(大畑)。「1打目はあえてほどほどにして、2打目でビターッと寄せたら、相手は嫌ですよー」(穴井)

技術に加え、トッププロからメンタル部分のアドバイスをもらい、また一歩進化した大畑。次回、いよいよ上原との対決開始。リベンジなるか!?

【今週のバージョンアップ】
ショット後に“振り返り”はするけれど
ヘコまない。しっかりリセット!

令和の武蔵になる

オオハタダイスケ

大畑大介。1975年11月11日生まれ。ラグビー元日本代表、伝説のウイング。大阪の東海大仰星高で上原浩治と同クラス。ベストスコアは91だが「本気を出せば上原に勝てる」と豪語する強メンタル&フィジカルでゴルフ修行フェーズ2へ

迎え撃つは

ウエハラコウジ

上原浩治。1975年4月3日生まれ。読売巨人軍の元エースで、メジャーリーグでも活躍したレジェンド。マウンド上の緊張感を今はコースで味わうのが楽しいという根っからのアスリート気質を持つエンジョイかつ本気ゴルファー。大畑の挑戦に一度は“勝利”したが……

週刊ゴルフダイジェスト2022年10月4日号より