お金だけではない。キャメロン・スミスがLIVへの移籍を決めた理由
LIV入りが噂されていたキャメロン・スミスの正式移籍が決まった。9月2日に開幕するボストン戦に出場する彼のほか、5名がPGAツアーに別れを告げた。
噂されていたとはいえ、「ザ・プレーヤーズ選手権」「全英オープン」を含む3つのビッグイベントを制した世界ランク2位、29歳のスミスの移籍が現実になったのは、ツアーにとって大きな打撃。これまでは、いわば“ピークを過ぎたベテラン”の移籍が目立ったが、ついにもっとも旬な強豪をLIVに奪われたのだから。
移籍の理由を「もちろん(100億円を超える)契約金が魅力だったことは否定しません。これはビジネス上の決定であり、無視できないオファーでした」と語ったスミス。しかし理由はそれだけではなかったようだ。
「故郷のオーストラリアで過ごす時間が長く取れる。今までは数週間でしたが、最大3カ月くらい故郷に滞在できるようになることが最大の魅力。これまで友達の結婚式や誕生日パーティを欠席したり、ラグビーの試合を見逃してきたけれど、これからは犠牲にしてきた人生の一部を取り戻せる気がします」
スミスと同郷のM・レイシュマン、チリの23歳J・ニーマン、インドのA・ラヒリ、C・トリンゲール、H・バーナーⅢのLIV移籍も同時に発表された。スミス、レイシュマン、ニーマンは開幕を直前に控えるプレジデンツカップのメンバー入りが確実視されていたが、PGAツアー主催の同大会にLIV組の出場は許可されていない。となると世界選抜は主力を欠くことになり、エース・松山英樹への負担が増すことになる。
スミスとフロリダで近所に住む釣り仲間のB・ホーシェルは、「本人の決断は尊重するけれど、ツアーでもう彼と一緒にプレーができないと思うと寂しさしかない」と胸中を明かした。
移籍組を再びツアーに受け入れる可能性は「ない」とジェイ・モナハンPGAコミッショナー。今後の展開は?
週刊ゴルフダイジェスト2022年9月20日号より