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うつ病とアルコール依存症を克服。カークが奇跡の2位でシード復帰

ソニーオープンinハワイでクリス・カークが単独2位に入った。優勝まであと1打、勝てずに悔しかったかと思いきやカークは喜びと達成感に溢れていた。

「こんな結果が待っているとは思わなかった。ラストチャンスを生かすことができて、言葉にならないくらいうれしい」と彼が言ったのにはワケがある。

それは一昨年の5月、カーク34歳の誕生日前日、彼はアルコール依存症とうつ病の治療に専念するため無期限でツアーを休養すると発表したのだ。

ツアー4勝を誇り、ライダーカップに出場したこともあるカークは「(酒は)止めようと思えばすぐ止められると思っていた」。しかし徐々に症状は悪化。やる気は失せ、成績は出ず、一日中壁を見つめて過ごす日もあり治療の必要性を痛感したという。

「自分を変えたい」という強い思いと家族のサポートでおよそ1年後にツアーに復帰。すると2戦目のコーンフェリーツアー(下部ツアー)で優勝。「心の病に負けなくてよかった。またこの舞台に立ててうれしい」と喜んだ。

強いカークが帰ってきた(写真は2012年ノーザントラストオープン)



ツアーには公傷制度がある。おもにケガで試合に出られなくなった選手に適用されるが「心の病」のカークにもこの制度が適用され、ソニーオープンまでの11試合でフェデックスカップのポイントを280ポイント稼ぎ、昨季の同ランク125位相当に達すれば晴れて今季のシード権が確保できることになっていた。

そして迎えたラストチャンス。必要な180ポイントを稼ぐには3位以内(タイは2人まで)が条件。「でも生きるか死ぬかの問題ではないと思っていた。大好きな試合でゴルフを楽しみたいと思った」と4日連続65をマークし単独2位。見事シードに返り咲いた。

「キャリアがピークだった13年から15年は自分が置かれた立場が嫌でアルコールに逃げていた。でもいまはあるがままの自分を受け入れられる。またゴルフが楽しくなった!」

15年以来のツアー5勝目も夢じゃない!?

週刊ゴルフダイジェスト2021年2月9日号より