選手をサポート、スポンサード……一見華やかな「プロキャディ」その実態とは?
選手をもっとも近くで支えている「プロキャディ」。トーナメントという華々しい舞台で選手とともに歩く姿はカッコよく、最近では企業からのスポンサードを受けるキャディも少なくない。とはいえ必ずしも潤沢といえる稼業ではないようで……。
ILLUST/Koichi Tanaka PHOTO/Hiroyuki Okazawa、Hiroaki Arihara
現実は厳しいが希望もある!
華々しい女子プロの世界。それを支えるプロキャディ。最近ではスポンサーロゴを付けているのをよく目にし、こちらもさぞや潤っているように見えるが、「実際はそんなことはありません」と言うのは、キャディとして38勝を挙げている清水重憲氏。
「もちろん、賞金王、賞金女王を争うような選手につかせてもらえれば、収入もよくなりますが、それは“ボーナス”という考え方なので、仮にそれがない、世間でいう“基本給”だけで考えた場合、すごく厳しい世界です。企業さんからの支援は本当にありがたいです」
キャディの実態(1)
「専属」か「フリー」どちらかで活動する
【専属の場合】
メリット●一年間安定して仕事がある
デメリット●調子が悪くなると雰囲気も悪くなる
清水氏はかつて田中秀道、谷口徹、上田桃子、イ・ボミの専属キャディを務めていた
【フリーの場合】
メリット●特定の選手ではないため調子の波を気にしなくていい
デメリット●仕事が保証されているわけではない
現在はフリーで活動している清水氏。主に河本結や堀川未来夢などのバッグを担ぐ
キャディの実態(2)
報酬の相場は1週間10万~13万
キャディは基本週契約で、10万~13万円が相場と言われている。そこに予選通過などをした場合、ボーナスが上乗せに。ただし、報酬の中には経費(交通費、宿泊費、食費など)も含まれている場合が多く、決して多いとはいえない
キャディの実態(3)
オフには営業活動も行う
2019 年に日本プロキャディ協会を設立、副理事として活動している清水氏。「積極的な営業活動というわけではありませんが、企業さんに我々の世界の実情を知ってもらい、思いを伝えに行っていますね」
近年プロキャディをスポンサードする企業が増えている!
(左から)●塚本岳キャディ[原英莉花など]……河野製作所、Zodia ほか ●古賀雄二キャディ[植竹希望など]……サンクリュクス ほか ●齋藤優希キャディ[申ジエ]……ヘルシーフーズワタナベ、髙野商運グループ ほか ●森本真祐[テレサ・ルー、西村優菜など]……ハイペリオン、朝日ゴルフ ほか
プロコーチ兼キャディの大西翔太氏には
なんと8社のスポンサー!
青木瀬令奈のコーチ兼キャディを務める大西翔太氏のウェアの袖にはびっしりとスポンサーロゴが。その数なんと8社。「お金でサポートしてもらっているところもあればそうでないところもあります。本当にありがたいことです」(大西)
キャディは大きく3タイプ。選手側の選ぶ基準は?
●プロキャディ
メリット:マネジメントのアドバイスが的確
デメリット:技術面でのサポートは受けにくい
●コーチ兼キャディ
メリット:総合的なサポートが可能
デメリット:知りすぎているがゆえに口出しすることも
●ハウスキャディ
メリット:判断が早くなる、安価でお願いできる
デメリット:自分の負担が増える
月刊ゴルフダイジェスト2022年9月号より