収入の8割は全米オープン! 全米女子オープンは13億円の赤字!? USGAのお金事情
今年の全米オープンにかけるUSGA(全米ゴルフ協会)の期待は大きい。なにしろ全米オープンこそが、USGA最大の資金源だからだ。
コロナ以前の19年、USGAは2億1090万ドル(約280億円)の年間収入があったが、このうちの78%、1億6500万ドルを全米オープンで稼ぎ出しているという。
一方、費用のほうはというと、地区予選や本戦の賞金1250万ドルを含めると9500万ドルほどかかっており、大まかにいえば、残りの7000万ドルが実質的な利益となり、それがUSGAの活動資金の一部となる。
USGAの収入で最も大きいのは放映権料で、19年はFOXなどにより、1億1359万ドルが支払われているが、これは主に男女の全米オープン、全米シニア、全米アマの放映権料からなると言われるものの、実際は大部分が男子の全米オープンが占めていると見られている。
今年は、全米女子オープンの賞金総額が550万ドルから一気に1000万ドルとなり話題となった。優勝賞金が180万ドルは女子ゴルフ最高額で、男子にも追いつきそうな勢いだが、マイク・ワンCEOによれば、「これはProMedica(医療系の非営利団体)がパートナーになったおかげ。USGAは賞金に関して、儲けてもいないし、損もしていない」と語っていた。テニスの全米オープンのように男女平等の賞金額を求める声もあるが、「女子ゴルフの視聴率は、男子の5分の1にとどまる」ため、同じ土俵で語ることはできないとし、現在、全米女子オープンの収支は1000万ドル前後の赤字だという。
話を全米オープンに戻す。FOXは、15年から12年契約で10億ドルという大盤振る舞いをして放映権契約を結んだことが話題になったが、他の人気スポーツとの放映スケジュール調整が難航した結果、放映権を手放し、現在はNBCが受け継いでいる。4年後には契約更新、契約交渉は24年ごろから始まると見られるだけに、今から男女の全米オープンのブランドイメージを高める必要に迫られているということだ。
週刊ゴルフダイジェスト2022年6月28日号より