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【スウィング研究】タイの新星アタヤ・ティティクル「タメを作らず大きな弧を描く」

14歳で欧州女子ツアーの試合を制し、一躍注目を浴びたタイのアタヤ・ティティクル。今季から米女子ツアーに参戦し、すでに1勝を挙げている再注目ルーキーのスウィングを、プロコーチの森守洋が解説。

PHOTO/Blue Sky Photos

アタヤ・ティティクル
2003年生まれ、タイ出身。2017年に欧州女子ツアー「欧州女子タイ選手権」を14歳4カ月19日で制し、L・コーが保持していた同ツアー最年少優勝記録を更新。今季、USLPGAツアーメンバー入りし、すでに1勝を挙げる
●平均飛距離:271.87Y ●FWキープ率:72.2%

体の正面からクラブが外れない

欧州女子ツアー最年少V記録を打ち立てて注目を浴びたA・ティティクル。昨季は同ツアーで2勝を挙げ、賞金女王・最優秀新人賞の2冠に輝いた19歳。今季デビューしたばかりの米女子ツアーでもトップランクの飛距離と安定性の高さを誇る。


「骨盤を大きく回してハンドファーストに当てるというより、インパクトで腰の回転は控えめで、肩のラインもアドレス時に近いポジション。オーストラリアのミンジー・リー同様、体の正面でクラブをさばくタイプといえるでしょう。プレーン通り上げて下ろすというより、切り返しで腕が若干ループし、シャフトが後ろに倒れる“今どき”のシャローイング動作が入りますが、スウィング全体の印象としては、とてもクラシカル。切り返しでのバンプ(腰を目標方向に動かすこと)も少なく、インパクト後から大きく回っていますね。野球のピッチングのような、球が手から離れるまで、体の開きを遅らせる動きにも似ています。

さらに彼女の特徴は、ダウンスウィングでタメをあまり作らず、右ふところに大きくスペースをとっていることです。ややストロングに握り、リストコックをあまり使わず、手とグリップの位置関係を変えないように振ることで、フェースの挙動が安定しています。もしかすると、彼女自身に両腕の長さを変えない意識があるのかもしれません。

162センチと、海外選手にしては小さめながらスウィングの弧が大きく見えるのは、このような腕の使い方が関係しているのでしょう。腕の感覚が鋭い選手にも見えます」

解説/森守洋

米国でスウィング理論を学んだのち、陳清波に師事。2002年よりレッスン活動を開始し、現在は香妻陣一朗や堀琴音らツアープロのコーチを務めつつ、多くのアマ指導にあたる

週刊ゴルフダイジェスト2022年6月21日号より