【スウィング研究】ミンジー・リー「下半身の安定感が高いからこそ上半身を鋭く回していける」
全米女子オープンで2位に4打差をつけ圧勝したミンジー・リー。飛距離と正確性を高い次元で両立できる秘密はどこにあるのか。プロコーチの森守洋が分析!
PHOTO/Blue Sky Photos
ミンジー・リー
世界アマランク1位の肩書で2014年にプロ入りし、USLPGA通算8勝。昨季まで4年連続賞金ランク10位以内という安定した成績を残す実力者
●平均飛距離:271.77Y ●FWキープ率:73%
下半身は
安定感を高めるための“土台”
デビュー以降、飛距離、精度ともに高い水準を維持するツアー屈指のボールストライカーは、決して飛ばし特化ではなく、「高い再現性を維持したうえで飛距離もある」と森。
「近年の選手によく見られる、インパクトで体が完全に目標を向き、ハンドファーストでインパクトしていくのではなく、体の正面でクラブを“さばく”どちらかといえばクラシカルなスウィングです。最大の特徴は、下半身の静かさ。個人的な印象では、世界で一番、下半身が暴れない選手といえますね。
とはいえ、決して下半身が動いていないわけでなく、体の軸が動くことなく綺麗に回転しているから『静かに見える』のです。私の予想ですが、もしかすると彼女は上体主体の意識が強いのではないのでしょうか。
よく“スウィングのエンジンは足”という表現を使いますが、そういった意味で考えると、下半身が静かな彼女のスウィングは、飛距離を犠牲にし、再現性を高めているようにも見えるかもしれません。でも、下半身の安定性が高いからこそ、回転のギアを上げることができるのです。証拠として、切り返しで左へバンプ(腰を目標方向へ押し出す動き)することなく、フィニッシュまで一気に胸郭を回していること。下半身に、飛ばすための原動力というより、あくまでも“スウィングの土台”として安定を高める役割を持たせることで、高い安定性を確保しつつ、ギアを上げていけることが彼女の強みです」
解説/森守洋
米国でスウィング理論を学んだのち、陳清波に師事。2002年よりレッスン活動を開始し、現在は香妻陣一朗や堀琴音らツアープロのコーチを務めつつ、多くのアマ指導にあたる
週刊ゴルフダイジェスト2022年6月21日号より