【全米女子オープン】日本選手は15人! パインニードルズを制するのは? コース&注目選手ガイド
今週、ノースカロライナ州のパインニードルズで開催される全米女子オープンに、日本人選手15人が大挙して参戦。昨年は笹生優花と畑岡奈紗による日本人同士のプレーオフとなったが、今年も日本勢の活躍が見られるか?
解説/レックス倉本
PHOTO/Blue Sky Photos、Takahiro Masuda、Tadashi Anezaki、Hiroyuki Okazawa
勝負のカギは正確なアイアンショット
今年で4回目の全米女子オープンの舞台となるパインニードルズロッジ&GC。設計者ドナルド・ロスの最高傑作と言われるパインハーストNo.2のすぐそばに1928年に開場した。その後、何度か改造されたが、2017年に原設計へとリストアされている。
「このときにグリーンがベント芝からバミューダ芝へと張り替えられました。フェアウェイは広く、回りやすいコースとも言えますが、フェアウェイもグリーンも、どこまでも硬くできるのが特徴です。パインハーストの近くで地質も似ていて、砂地なので水はけがいい。たとえ雨が降っても地面が軟らかくなることはありません」とレックス倉本氏は言う。
「また、ウェイストエリアやコース名にもなっている松の葉が敷き詰められたエリアばかりで、ラフは深くありません。昨年、全米女子オープンが開かれたサンフランシスコのオリンピッククラブはラフが深く、パワーがアドバンテージになりましたが、ここではパワーよりもグリーンを狙うショットの精度が重要になります。硬くて速いグリーンに対して、いかに高い弾道でスピンの利いたボールで止められるか。さらに、砲台グリーンや傾斜のきついグリーンもあり、グリーンを狙うアングルがとても重要になってきます。もちろん飛距離が出れば、短い番手で打てるので有利ですが、フェアウェイのどの位置からグリーンを狙うかによってショットの難度が大きく変わるんです。そう考えると、緻密なマネジメントができるアイアン巧者に分があると思います」
つまり体格やパワーで劣る日本選手にも大いにチャンスがあるということ。
「雰囲気的にも日本の林間コースに似ていることもあり、日本ツアーの選手も普段通りのプレーがしやすいでしょう。強いて言えば、日本ではまだ少ないバミューダ芝に、練習ラウンドで慣れていかに対応できるかだと思います」
歴代優勝者はショットメーカー
「コース改造やリストアが行われているので一概には比較できませんが、パインニードルズで行われた過去の全米女子オープンでは96年アニカ・ソレンスタム、01年カリー・ウェブ、07年クリスティ・カーと、いずれもショットメーカーが優勝しています。今回もショット力の勝負になると思います」(レックス倉本)
2年連続で日本人が
全米女子オープンを制するか?
レックス倉本が日本人選手以外で最有力候補に挙げたのはアイアン巧者のネリー・コルダ。1月にコロナ感染、3月には腕に血栓ができ4月に手術を行った影響でツアーを長期離脱していたが、今大会で復帰。「メジャーのなかでも全米女子オープンは特別」と以前語っていたように思い入れが強い大会でもあり、昨年の全米女子プロに続くメジャー2勝目に期待がかかる。
「日本人選手なら高いアイアンショットが打てる畑岡選手がコースとの相性が良いでしょう。実は畑岡選手とは4月に優勝する2週間前くらいに食事をしたのですが、明るい笑顔で、いい意味で余裕を感じました。一流選手には、そういう雰囲気が自然と備わっているものですが、そういうレベルになってきたんだな、と思いました。昨年、あと一歩で手の届かなかったメジャータイトル。今年こそは! の思いが誰よりも強いはずです」(レックス倉本)
ショットメーカーの4人に注目
今季10戦5勝の西郷真央
海外でも力を発揮できるか?
国内ツアーからは、頭ひとつ抜けた活躍を見せる西郷真央、4月に17勝目を挙げたベテラン・上田桃子、17年&19年の賞金女王・鈴木愛ら実力者たちが渡米する。昨年までは海外メジャーは国内の賞金ランクに反映されなかったが、今年からメルセデスランクになり、優勝すれば国内3日間大会優勝の4倍となる800ポイントが加算される。優勝できなくても、少しでも上位で終え、より多くのポイントを獲得したいところ。また世界26カ所で行われた最終地区予選会のひとつ、日本予選を勝ち抜いた6名も挑戦。出場資格があったがコロナワクチン未接種や国内ツアーに専念するなどの理由で、稲見萌寧、勝みなみ、堀琴音、山下美夢有、高橋彩華は今年の出場を見送っている。
西郷真央
●メルセデスランク 1位
●世界ランク 19位
日本予選会を勝ち抜いた6選手も出場
4月25日に千葉の房総CC房総ゴルフ場にて行われた全米女子オープン日本最終予選会。プロ105人、アマ58人の計163選手が出場し、東西コースの計36ホールをプレー。上位6人が出場権を手にした。
(写真左から)
●早川夏未(19)
共立女子第二高卒。昨年のプロテストでは最終まで残るが、惜しくも合格に手が届かなかった。その悔しさをぶつける
●髙木優奈(24)
昨年は35試合に出場したが、シード権獲得ならず。プロテストも不合格になり半年間全米女子オープンを目標にしてきた
●濱田茉優(26)
18年に初シードを獲得して以来、3季連続シード入り。今年もフジサンケイレディスで3位タイに入るなど活躍
●識西諭里(25)
プロテスト未合格ながら16年にプロ宣言。井上透コーチに師事。米女子ツアーマニアといい、憧れの夢舞台で輝けるか
●伊藤二花(17)
千葉のゴルフ強豪校に所属。プレーオフを制して全米女子オープンの切符をつかみ取った勝負強さと強運を見せられるか
●馬場咲希(17)
ブリヂストンレディスでは28位タイでベストアマ獲得。175センチの長身から生まれる飛距離は世界でも通用するか⁉
週刊ゴルフダイジェスト2022年6月14日号より