【ゴルフに運はつきもの】Vol.22「前言撤回! 全米シニアに出場します。バッグを担ぐのはなんと…」
最強のサラリーマンとしてアマチュア時代に輝かしい成績を収め、49歳でプロ転向した“中年の星”こと田村尚之プロ。群雄割拠のシニア界で気を吐く異色プロが、自身のゴルフについて、そしてシニアツアーの裏側について語る。
ILLUST/Masahiro Takase
シニアツアーは開幕から2戦を消化しました。第2戦のノジマチャンピオンカップをプレーオフの末に制したのは兼本貴司選手。シニアツアー初優勝、誠におめでとうございます。
シニア入りした昨年はショットに苦労してシード権も逃していましたが、さすがレギュラーツアーで2勝している実力者、復調も早かったですね。とにかく飛距離はレギュラーツアーに入っても引けを取らない飛ばし屋で、もちろんシニアツアーではトップクラス。羨ましい限りです。
ちなみに私はというと……なかなかうまくいきませんわ。ショットもだけど、例によってパターがねえ(泣)。まあここ数年、春先はまったくダメなので、焦らずボチボチやるしかないですね。
そして、ここでお知らせがあります。私、今年の6月23日から米ペンシルベニア州のソーコンバレーCCで開催される、「全米シニアオープン」にエントリーしました。
実は、日本シニアツアーの賞金ランキング4位までは、翌年の「全米プロシニア」と「全米シニアオープン」の出場資格が与えられます。昨年の賞金ランキングが4位だったので、両方の出場資格はあったのですが、「全米プロシニア」は帰国後の隔離で国内のシニアツアーを欠場することになるのと、5年前に一度出場していますので、早い時期に欠場届を出していました。
また「全米シニアオープン」も、こちらは出場したことはないのですが(以前は賞金ランキング2位までしか出場できなかった)、いったんは欠場を決めて、スポンサー様ほか、各関係先には「スターツシニアの翌週ですし、コロナやウクライナ情勢もあるので、全米シニアオープンも欠場します」とアナウンスさせていただいたのです……。そしたら、すぐにホリエモン(堀江貴文氏)から「ええー、マジですか? もったいないです。人生一度きり、絶対行ってください! なんなら自分がキャディやりますから。ワクチン3回打ってて、行かないのはないですよ!」とLINEが。
情けないんだけど、それでちょっと揺れちゃいましてね。所属先のダイクレの山本会長に、ホリエモンにこう言われまして、と連絡させていただいたら「そりゃ流れに乗っかるしかないじゃろ。たとえ周りから見て、目先の失敗だとしても、自分がその先につなげられればそれは失敗ではなく成功じゃろ」と後押しされまして……。というわけで、乗っかりました(笑)。
まあ自分はもともと、決断に迫られた時にどう決断するかはどうでもよくて、決断したことをどうよくしていくかしか考えてこなかったので……ええい、ままよ! です(笑)。それからすぐに日本プロゴルフ協会の担当者の方にも「こうこうで、やっぱりエントリーお願いします!」と連絡しましたよ。前夜には「欠場しますので、米PGAにそう連絡してください」って伝えていましたので……。
言っときますけど、通用はしません。実力はよくてブービー、よくわかっています。でもね、前回2017年の「全米プロシニア」に出場した時は、優勝したベルンハルト・ランガー選手と一緒に練習ラウンドできたり、なんとか4日間プレーできたり。当時大統領だったトランプさんのコースでおこなわれ、クラブハウスの中は、まるで社交場のようでしたし。それはそれは、それまでの何物にも代え難い体験をさせていただきました。今回も必ず何かは得て帰りますよ。
ホリエモン、キャディバックは軽くするから、ちゃんと担いでちょーだいよ!
幸運のパターと出合えるか?
相変わらず頭を悩ませているのはパッティングという田村プロ。昨年、ファンケルシニアで劇的な優勝を呼び込んだパター「オデッセイ2ボール」は現在、お休み中。キャスコの「赤パター」のニューモデルをはじめ、いろいろとテストしているという。「ラッキーパター」は現れるのか?
田村尚之
1964年6月24日生まれ。「日本ミッドアマ」2連覇、「日本アマ」2位などを経て49 歳でプロへ転向。2016年「富士フイルムシニア」でツアー初優勝
月刊ゴルフダイジェスト2022年7月号より