米シニアメジャーで圧勝のストリッカー。原因不明の難病乗り越え
米国シニアツアーのメジャー「リージョンズトラディション」で、スティーブ・ストリッカーが完全優勝。難病を克服しての復活勝利に思わず歓喜の涙を流した。
初日から首位を走り、最終日もノーボギーの4アンダーをマーク。2位のP・ハリントンに6打差の圧勝に、「ここまで本当に長かった。ここ数カ月のことを思うと、この勝利はあまりにも大きな意味がある」とストリッカー。
すでに勝利は確定。それでも淡々と自分のゴルフを貫いた彼は、17番でバンカーからチップインバーディ。18番でもイーグル逃しの楽々バーディで他を圧倒。
昨年地元ウィスコンシンで開催されたライダーカップでキャプテンを務め、チームを圧勝に導いたストリッカーは、人生最高の瞬間を謳歌したが、ほどなく発熱や倦怠感などの症状に見舞われ緊急入院。コロナではないことがわかったが、検査しても原因がわからず、「医学で解明できない難病」と診断された。
入院は2週間におよび、体重は10キロも減少。回復までに3カ月以上かかり、復帰したのは3週間前のこと。
「3試合連続で出場するスケジュールを組んだけれど、体がもつか自分でもわからなかった。何の期待もせずに上がった舞台でこんな結果が待っているとは!」
支えになったのは妻ニッキーさん。闘病中はもちろんだが、試合でキャディを務め、公私ともに全力でサポートした。その甲斐あって3試合連続トップ10入り。復帰戦のインスペリティ招待では2位タイ、続く三菱電機クラシックでは10位タイ、そしてトラディションで優勝と、これ以上ないシナリオが完結した。
天国から地獄に突き落とされた男が再び天国へと這い上がった。55歳にしていまだ健在。息の長い活躍は50代希望の星そのものだ。
週刊ゴルフダイジェスト2022年6月7日号より