【ゴルフはつづくよどこまでも】Vol.83「一周回って、シニアは頑張る」
高松志門の一番弟子として、感性を重んじるゴルフで長く活躍を続ける奥田靖己。今週もゴルフの奥深い世界へと足を踏み入れていく。
PHOTO/Hiroshi Yatabe
こうやって60歳を超えても、シニアの若い選手、ベテランの選手、10歳下とか、10歳上、両方とも見とって勉強になることが多いです。ずっと勉強なんですよ。
シニアって幅が広いでしょう。それに他のスポーツと違って、これだけ長くできる競技はない。72歳とかで「エージシュートいくぞ!」言うんですから。
谷口(徹)にしても深堀(圭一郎)にしても、年下やけど尊敬できるし、一生懸命やってきたのが出ておる。シニアになってよりええ選手になりました。
エビさん(海老原清治)とは11歳違うんですが、僕が50歳でシニアツアーに入ったときに「お前、入ってきたか。今度一緒に練習ラウンドしよう」とさっそく言ってくれたんです。
僕らがサンドバッグなんですよ。若い奴を、飛ぶ奴をやっつけるんです。まあ、今もめちゃめちゃ振って飛びますけれどね。
エビさんは、今もグリップを変えることなどをやっとるようです。多くは言わんですけど。でも、絶対トレーニングはしない。谷口なんかはええとこ取りというか、サイエンスも少し入れて合理的にやっていくタイプ。どっちも自分のやり方を守っている。どっちも同じようにすごいんです。
マッシー(倉本昌弘)は、この前の試合で8アンダー出していたし、アルバトロスもやっとりましたわ。
皆元気ですよ。(髙橋)勝成さんは今も一番練習している一人や思います。寺西(明)くんとか中山(正芳)くんが一緒に練習場で球を打っとって「先にやめるわけにはいかんなあ」といつも言ってます。僕なんかは、「勝成さん、お先に。気をつけてください」って帰りますけどね(笑)。
(デビッド・)スメイルもあんな遠いとこから来て頑張っとるし、(グレゴリー・)マイヤーもね、スコアが悪かったら、翌日は同じ焼き肉屋には行かない、といってゲン担ぎするんです。今も勝負の世界におるんですよね。
皆、そんなんして一生懸命やっとるんですよ、一度きりの人生を。一周も二周もやってますわ。それが面白いんです。
「僕も頑張っとりますよ。ゴルフを、人生を」
奥田靖己
おくだせいき。1960年、大阪生まれ。93年日本オープンなど6勝。シニアで2勝。ゴルフの侘び寂び、温故知新を追求する
週刊ゴルフダイジェスト2022年6月7日号より