「ゲンちゃん」こと時松隆光がプロを招いてトークをする連載「わかった! なんて言えません」。今週のゲストは前回に引き続き、同じ九州出身で昨年初優勝を飾った池村寛世。池村の代名詞でもある“直ドラ”に時松は興味津々のようで……。

TEXT／Masaaki Furuya　PHOTO／Tadashi Anezaki

ホスト／時松隆光

1993年生まれ、福岡県出身。ツアー通算3勝。プロ10年目。テンフィンガーグリップで戦う。愛称は“ゲンちゃん”

ご指名／池村寛世

1995年生まれ、鹿児島出身。10歳でゴルフを始め豪州留学経験も。13年にプロ入りし昨年初優勝。実家は有名焼酎・魔王の原料を作るサツマイモ農家

時松　高校2年のときにオーストラリアにゴルフ留学したんだよね。

池村　半年間ですけど、ゴールドコーストのゴルフ場のスクールです。

時松　英語は話せるの。

池村　話せないです。でも話すときは単語を並べて伝え、聞くほうはわかる単語が聞き取れたら、そこから何を言っているか判断する感じでやっていたので、支障はなかったです。

時松　いい経験だったわけだ。

池村　はい。3月に帰国し、8月にプロテストに合格し、QTもファイナルまで行けて。次の年はチャレンジにも出られたので。

時松　高校1年のときに、アジアンツアーのQTも受けているし、海外志向が強いんだね。

池村　はい。最終的には米ツアーに行きたいと思っています。

時松　寛世の飛距離があればアメリカでもイケるんじゃない。

池村　30歳までには行きたいので無駄にできる時間はないなって思っています。昨年初優勝できたので次のステップに進めるかなと。今後はメジャーでの優勝も狙っていきたいですね。

時松　じゃあ昨年末のJTカップは惜しかったね。

池村　でも最終組で、優勝した谷原（秀人）さんや（宮里）優作さんのプレーを間近で見られて勉強になりました。2人ともヨーロッパツアーで戦ってきた人ですし。

時松　どういうところがすごいと思った?

池村　落ち着いていますよね。谷原さんはボギー先行でバーディがこなくてもずっと我慢をしていて、13番で取ってからは勝負どころでスコアを伸ばすというプレーぶり。やはり経験の差を感じました。ラウンド後に谷原さんにその日の僕のショットに関してアドバイスをもらったんです。僕はショット全般の調子がよくなかったので、ティーショットは直ドラで打って何とかしのいでいたんです。でもアイアンショットはどうにもならず、その日はひどくて。それを見て谷原さんが試合後「直ドラでスウィング軌道が微妙に変わってくるので、多分、アイアンのときにも少しズレが出ていたんだと思うよ」って。そういう指摘も、冷静だと思いました。

時松　でも、寛世はなんで直ドラがあんなに上手いの。

池村　僕は横峯さくらアカデミーで、さくら姉ちゃんが直ドラするのを小学生のときから見ていたんです。アカデミーの子はみんな直ドラをしていたので、プロになりたての頃は他のプロも普通に直ドラするんだろうなって思っていました。

時松　JTの最終日はほとんど直ドラだよね。ティーを持ってないんじゃないかとか思われるんじゃない（笑）。

池村　持ってますよ（笑）。でも、ティーを使ったのはパー3のホールと、UTで刻んだホールくらいで、ドライバーは全部、直ドラでした。

時松　直ドラのほうが曲がらないということなんでしょ。

池村　はい。ドライバーが曲がり始めてどうしようもできないときは直ドラで。僕はそっちのほうが安心して打てるので。

時松　余計なスピンがかからないからだろうね。ティーアップした球はヘッドがいろんな方向から入ってくるけど、球が地面にくっついていたら地面とすれすれにヘッドが真っすぐに入ってこないと打てない。それでスピン量が安定する。でも飛距離は落ちないの?

池村　北海道とかの粘る芝だと若干飛ばなくなるけど、東京よみうりのコースみたいに芝が強くてボールが若干浮くようなコースだとあまり変わらないかなと思います。

時松　直ドラはどう打つの。

池村　さくら姉ちゃんなんかは上から入れてボールの先も薄くターフを取るような、クリークみたいな感じで打っていましたけど、僕は払い打つ感じで、ターフも基本的には取らないです。

時松　インパクトの前後を超スローで撮影したら、ソールが地面ギリギリを擦る感じで、新幹線みたいにシャーッて通過するみたいなイメージだけど。

池村　新幹線?

時松　とにかく真っすぐと。ヘッドが持ち上がったら刃に当たるし、上からくると潜るし。

池村　イメージはそうだと思います。どうしても左に曲げたくないときなんかは、上からカットめに入れたりしますけど。基本は真っすぐで。

時松　でも、曲がらないということはスウィング的にはよいということだろうね。

池村　直ドラを打つとスウィングがよくなります。切り返しで力が入らないというか、ボールを打ちにいくグッという力みがなくなりますよね。

時松　まさに、スウィングづくりに直ドラを練習をするのはアリだね。

「払い打つ感じ。切り返しでの余計な力みがなくなります」（池村）

週刊ゴルフダイジェスト2022年6月7日号より