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【わかったなんて言えません】Vol.81 池村寛世 #1「スウィングの“キレ”を生むマン振り練習法」

「ゲンちゃん」こと時松隆光がプロを招いてトークをする連載「わかった! なんて言えません」。今週からのゲストは、同じ九州出身で昨年初優勝を飾った池村寛世。飛ばし屋でもある池村のスウィングの「キレ」の秘密とは?

TEXT/Masaaki Furuya PHOTO/Tadashi Anezaki

ホスト/時松隆光

1993年生まれ、福岡県出身。ツアー通算3勝。プロ10年目。テンフィンガーグリップで戦う。愛称は“ゲンちゃん”

ご指名/池村寛世

1995年生まれ、鹿児島出身。10歳でゴルフを始め豪州留学経験も。13年にプロ入りし昨年初優勝。実家は有名焼酎・魔王の原料を作るサツマイモ農家

時松 去年の「ISPS HANDA」で初優勝、どうだった?

池村 シーズン序盤はあまり調子がよくなかったんですけど、でもそれがあったから目標だったツアー優勝ができたのかなとも思っています。

時松
 プロ9年目の初優勝だけど、焦りとかはなかったの。

池村 いやぁ、ありましたよ。鹿児島出身の稲森くんが勝って、その次に(出水田)大二郎くんが勝って。一昨年に(香妻)陣くんが勝って。うわぁ、鹿児島のプロで優勝できていないの僕だけだと思って。九州のプロでも源蔵さん、(重永)亜斗夢さんも勝ってるし。だからやっと、という感じでした。

時松 あの試合、最終日は僕も寛世と一緒の組で回って見ていたけど、よい勝ち方だった。

池村 源蔵さんがめちゃくちゃ雰囲気を盛り上げてくれたので、ありがたかったです。

時松 5打差からの逆転というのもすごいけど、寛世は常にボードで順位を見ていて、16番にあるボードでは、植竹(勇太)が1打差に迫ってきたのを確認して、それでも16、17と連続バーディで優勝した。これはすごいプレーヤーになるなと思ったよ。

池村 源蔵さんは優勝争いのときにボードは絶対に見ないって言ってましたよね。逆にそれは自分には無理だなと思いました。見た時点で負けていたら「やらなきゃいけない」って思って攻めに入るし、もし見ないで負けたら、「見ておけばよかった」って後悔するのも嫌だから。

時松 寛世はゴルフを始めたのはいつなの。

池村 10歳です。

時松 子どもの頃は何かスポーツをやっていた?

池村 はい、サッカーをやっていました。今もやっています。オフなんかはゴルフよりサッカーをやることが多いくらいです。

時松 誰とやっているの。

池村 今、関東に住んでいる小学校のときに一緒にサッカーをしていた同級生とか。あとはプロサッカー選手とつながりがあったりするので。サッカー選手ってけっこうゴルフ好きが多くて、ゴルフ行こうよって誘ってくるけど、逆に僕はサッカーしたいのにって思うんですけどね。

時松 多分、寛世の飛距離が出るのはサッカーをしているからじゃないのかな。お尻とかデカいもんね。

池村 サッカーが終わった後って背中とかすねとか、めちゃくちゃ筋肉痛になります。そういう飛ばしに必要な筋肉も自然と鍛えられているのかもしれないですね。

時松 サッカー選手って、ゴルフが上手い人多いの?

池村 パターはめちゃくちゃ上手いです。インサイドキックでパスするのとパッティングは、ボールを面で押し出す感覚が似ているので、距離感とかもよい人が多いですね。ショットは野球選手のほうが上手いです。

時松 ところで、今季はどういうクラブセッティングでいくの。2番アイアンを入れていたけど。

池村 昨年のカシオから2番アイアンを抜いて3UTを入れました。UTって簡単ですね。やっとUTのよさがわかりました。

時松 遅すぎじゃね(笑)。3UTは19度?

池村 18.5度でちょっと飛ぶようにしてもらいました。その下がアイアン型の3UTです。

時松 今、飛距離はどんな感じ。

池村 1W=300Y、3U=250~260Y、3U=230~240Y、4I=220Y 5I=210Yって感じですね。

時松 自分はドライバーで260Yくらいだから。うらやましい……(笑)。飛距離アップのために昨年末から体重を落としているんだけど、どうかな。

池村 大事ですね。僕も2キロ落としてだいぶキレがアップしたって感じましたから。

時松 あ、キレね。寛世がすごいと思うのは、稲森とはまた違うショットの上手さだと思っていて、それがキレ。あのキレを出すにはどうしたらいいの。

池村 僕は、練習場でとにかく振ることを意識してやることがあります。スウィングスピードをひたすら上げる練習です。トラックマンで普段52㎧くらいのスウィングスピードの数値が51㎧くらいに落ちて、キレがないなって思ったときに、55㎧が出るまでひたすら振り続けるんです。

時松 球を実際に打つ?

池村 打ちます。でもマン振りですから球は当然、バラけます。でもこの練習の目的は速く振ることなので、それは気にしなくていいんです。それで、その後に普通のスウィングをすると、スウィングのキレが戻って打球は安定して飛距離は少しですけど伸びます。

時松 なるほど。キレってそうやってつくるものなんだ。

「球のバラつきは気にせず、スウィングスピードを上げるようにマン振りし続ける。キレが戻ってきます」(池村)

週刊ゴルフダイジェスト2022年5月31日号より