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【PGAツアーHOTLINE】Vol.26 スコッティ・シェフラー<前編>「シーズン最多勝も!? 覚醒の要因はパッティング」

PGAツアーアジア担当ディレクターのコーリー・ヨシムラさんが米ツアーのホットな情報をお届けする隔週連載「PGAツアーHOTLINE」。第26回のテーマはスコッティ・シェフラーの“パッティング”について。

ARRANGE/Mika Kawano PHOTO/KJR

勝利の要因はパットの成長

PGAツアーは今年初優勝者が続出しています。それは層の厚さの証しでもあります。マスターズまでの25試合で初優勝者は9人。昨シーズンが10人だったので昨季の実績を抜くのは時間の問題でしょう。

初優勝者の中には無冠の強者と呼ばれたスコッティ・シェフラーが含まれています。2月のWM・フェニックスオープンで覚醒(初V)すると、それまで勝てなかったのが嘘のようにマスターズでシーズン4勝目を挙げました。

彼には勝てなかった頃に比べ劇的に良くなっているスタッツがあります。それはストローク・ゲインド・パッティング。パッティングがスコアに与える影響(貢献)がルーキーイヤー(19-20年)はマイナス0.053、昨シーズンも0.023で107位だったのに、今季はシーズン半ばではありますが0.588(15位)と大きくプラスに転じています。


かつてドライバー・イズ・ショー、パット・イズ・マネーといわれましたが、最近はデシャンボーをはじめ「飛ぶ=稼げる」という図式に変わっていました。しかしシェフラーがブレークした要因を探ると、やはりパット・イズ・マネーなのだと改めて実感させられます。

今や「オールラウンダー」として認識されているが、ここ数年のパットの急成長が、彼を強くしたのは間違いない。WGCマッチプレーでは準決勝にダスティン・ジョンソン、決勝でケビン・キズナーを破って優勝。圧倒的な強さだった

何しろ直近の6試合で4勝を挙げたことで、シェフラーの今季の獲得賞金は1000万ドル(約12億5000万円)を超え、2位のキャメロン・スミスに4億円以上の差をつけているのですから。

パットがいかにブレークのきっかけになるかはスミスにも共通点が。このお話は次回詳しくさせてもらいます。

ではシェフラーは今後どれくらい勝ち星を伸ばすのか? 近年1シーズンの最多勝利記録はタイガー(00年)とビジェイ・シン(04年)がマークした9勝。2000年代前半は5勝以上が最多勝の条件でした。しかし最近は実力が拮抗していることもあり、年間3勝がせいぜい。昨季のパトリック・カントレーの4勝は際立っています。しかし今季シェフラーの勢いを持ってすれば5勝以上は間違いなさそう。

面白いことに02年はタイガーが5勝を挙げ、エルス、ミケルソン、シンがそれぞれ2勝ずつ。ビッグ4の勝利が目立っていましたが、初優勝者が最も多かったのもこの年。もしかしたら今年は02年の再現になるかもしれません。

コーリー・ヨシムラ

PGAツアーのアジア全体のマーケティング&コミュニケーションディレクター。米ユタ州ソルトレーク出身でゴルフはHC6の腕前

週刊ゴルフダイジェスト2022年5月3日号より