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【スウィング研究】スコッティ・シェフラー「オープンフェースに体重移動」“今どき”じゃないのに強い理由とは?

世界ランク1位として迎えたマスターズで堂々の優勝を飾ったスコッティ・シェフラー。いま最も強い男のスウィングは、意外にも最先端の動きとは真逆のスタイル。その特徴を内藤雄士が詳細解説!

PHOTO/KJR

スコッティ・シェフラー
1996年6月生まれ。テキサス大学を経て2018年プロ転向。下部のコーンフェリーツアーで2勝し、2020年からPGAツアーメンバーに。2022年に入り立て続けに3勝を挙げ、世界ランク1位に。マスターズでメジャー初優勝を飾る。身長191センチ

解説/内藤雄士

ティーチングプロ。日大在学中に米国留学しゴルフ理論を学び、丸山茂樹など多くのプロをサポート。2003年レッスン・オブ・ザ・イヤー受賞。ラーニングゴルフクラブを設立、ゴルフ指導者&分析家として活躍中

テキサス育ちのショットメーカー

シェフラーはテキサス州のダラス育ち。地元にはB・ホーガン、L・トレビノ、T・カイト、J・スピースなど低い球を打つのが得意な選手が多く、パンチショットもうまい。テキサスの硬いフェアウェイやグリーン、強風のコースで育ったからだと思います。しかもシェフラーはハイトップ&ハイフィニッシュなので、低い球はもちろん高い球も得意。

キャリーが出せるので、初優勝の前からメジャーや難コースで上位に入っていたのは、そういった背景からだと思います。

スウィングは今どきのシャットフェース&ストロンググリップとは一線を画します。25歳にしては珍しい昭和的な印象。グリップは両手ともややウィークで、トップもややフェースオープンでフェース開閉も大きめ。最近主流のヒップターンではなく、左右の体重移動を使って打ちます。


シャットにしない理由とは?

D・ジョンソンのように手首を掌屈して、シャットフェースにすればさらに飛距離は伸びます。それをしないのはアイアンやショートゲームを考えてのことでしょう。シャットにすると入射角の問題で、アイアンやアプローチに悪い影響が出てくる。そうしないことで穴がないオールラウンダーとして成長したのだと思います。また、シェフラーは身長が高く、ヘッドスピードも速いので、今のフェースオープンで十分に飛距離を出せています。

D・ジョンソンと好対照! シェフラーの左手首は“背屈”
左手首を掌屈させるシャットフェース使いのDJに対して、シェフラーは左手首を甲側に折ってフェース向きもオープン気味

ダウンから右足が豪快に動きますが、腰回転タイプではないので、それがデメリットになりません。おそらくクセで、右ひざを前に出したくないという感じ。若い頃のグレッグ・ノーマンのスウィングに似ていますね。大学の先輩、スピースのように華やかなタイプではなく、デビューからプレースタイルは堅実派。それでもどのショットにも穴がないことが、世界1位まで上り詰めた要因です。

<2021-2022スタッツ>
「プレーに“穴”がない」

●平均飛距離▶308.9Y(24位) ●パーオン率▶71.56%(15位) ●平均バーディ数▶4.9(5位) ●平均パット数▶1.69(8位) ●平均スコア▶69.87(6位)

週刊ゴルフダイジェスト2022年4月26日号より