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【名手の名言】ジャック・ニクラス「不遇の時期こそ幸運な時期なのだ」

レジェンドと呼ばれるゴルフの名手たちは、その言葉にも重みがある。ゴルフに限らず、仕事や人生におけるヒントが詰まった「名手の名言」。今回は“帝王”ことジャック・ニクラスの含蓄のある言葉を2つご紹介!

1985年には全米、全英と立て続けに予選落ちを喫し「ニクラスの時代は終わった」と囁かれたが、翌年のマスターズで大復活を果たした


不遇の時期こそ幸運な時期なのだ
私はこの灰色の時期を
自らに与えられた鍛錬の機会
と信じていたんだ

ジャック・ニクラス


21歳で全米アマを獲り、22歳でプロ入りした年に全米オープン制覇。その後の4年間で4大タイトルをすべて獲ってキャリアグランドスラマーになったニクラスは帝王と呼ばれ、メジャー18勝の記録を持つ。

その天才にも、むろんスランプの時代はあった。

勝てないことが話題になって数年、苦杯をなめていたときに発したのが、表題の言葉だ。

1980年に全米オープンで青木功と4日間一緒の組でのデッドヒートを制し、同年の全米プロでメジャー17勝目を奪取したあと、しばらくメジャーで勝てない日々が続いた。「ニクラスは終わった」とまで言われたものだ。

しかし、その6年後のマスターズで帝王はよみがえる。“灰色の時期”を耐え忍び、つかんだ18度目の栄冠。46歳2カ月23日でのマスターズ制覇は最年長記録だった。この記録はいまだに破られていない。

この日、オーガスタナショナルGCには「Jack is Back!」(ジャックが帰ってきた!)の大合唱が轟いた。

メジャー18勝の金字塔はスランプの数年間、“鍛錬の機会”があったからであろう。 この大記録を、タイガー・ウッズが現在15勝で追いかけている。幾多の灰色の時期を乗り越えてきたタイガーが、今一度大復活を見せてくれる日は訪れるのだろうか。


人は心から楽しめるものについてのみ
ベストを尽くせると私は信じる
楽しくないことに
高い能力を発揮するのは至難だ

ジャック・ニクラス


ニクラスは現役時代、厳かな表情で求道的にプレーしていた。楽しいふうには少しも見えなかった。

メジャーチャンプで陽気なファジー・ゼラーは「苦虫をかみつぶしてどこが楽しいんだ?」と、時の帝王に突っ込みを入れていた。

しかし、ニクラスにとっては求道的に頂きを目指すプロセスが楽しかったのである。楽しみ方は、人それぞれであり、楽しめること自体が才能なのであろう。

「好きなこそ物の上手なれ」と日本のことわざにもある。ニクラスはこれが言いたかったのだろう。

■ジャック・ニクラス(1940年~)

米オハイオ州生まれ。10歳でゴルフを覚え、12歳から5年連続で州ジュニア選手権に優勝し、神童と呼ばれる。その後全米アマを2度制し、61年にプロ入りした。その翌年、全米オープンに優勝するが、当時のヒーロー、アーノルド・パーマーを破っての勝利と太めの体格のためか、敵役となる。その後巨漢からスリムへ、GIカットから長髪へイメージチェンジを果たし、帝王と呼ばれるようになる。ツアー73勝。なかでもメジャー18勝の記録は未だ破られず、メジャーでの2位も19回と圧倒的。グランドスラマーであり、殿堂入りも果たした、20世紀最高のゴルファーである。

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