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【スウィング研究】日本OP優勝のショーン・ノリス「いい意味の手打ち。アマチュアは真似しないで!」

「フェードヒッターが構えやすいホールが多いので、フェードの名手が上位にきそうです」と語ったのは、日本オープン直前に会場の琵琶湖CCをプレーした早川佳智プロ。その言葉どおりにS・ノリスが優勝。その特徴的なスウィングについて解説してもらった。

PHOTO/Tadashi Anezaki

S・ノリス
大会記録の19アンダーで優勝。南アフリカ出身、1982年生まれ。188センチ・100キロ。日本ツアー6年目、通算6勝

上から下へ振り下ろす

一番の特徴は飛距離を捨てて徹底的に左を消したスウィングということ。フォロースルーでフェースの向きがかぶっていません。ノリスがよくやる動作ですが、大会最終日の16番のパー5のティーショットで、打つと同時に右足を目標へ出し、歩くようにフォローをとりました。フェースを返さない意識から起こる動作で、フェースを返さないぞ! という意思を感じます。


S・ノリスの1Wスウィング

流石なのが切り返しです。トップからダウンへ移るとき、手元がスッと下へ落ち、シャフトが立ちすぎません。一瞬ドローを打つのかな、と思えるほどです。アマチュアのスライサーは首付近からクラブが下りますが、ノリスは右肩の高さからヘッドが下りるわずかなアウトサイドインなのでスライスとフェードをコントロールできるのです。

飛距離をあえて抑えているのは、インパクトを見るとわかります。飛ばす選手に比べて腰の回転が少なく、ベルトのバックルが正面を向いています。さらに特徴的なのがインパクトで上体の前傾角度が起き上がること。回転ではなく、ヘッドを上から下へ縦に振り下ろしている表れです。体が大きく腕っぷしも強いから、上からぶつけるだけでも十分に飛ぶので、腰の回転を抑えたフェードで戦っているのかもしれません。いい意味での手打ちと言えますが、普通の人がやったら飛距離がまったく出ないのでお勧めはしません。仮にノリスが腰を回転させて本気で振ったら350ヤードはいくポテンシャルと言えますね。

腰を回さず体の正面でインパクト

腰の回転でスピードを出す選手が多いなか、ノリスは腰を回さずインパクト。飛ばしよりも方向性重視

縦に振り下ろすから前傾が浅くなる

「ボールに向かって上から下へ振り下ろすと、反動で上体の前傾が浅くなります。この動きも特徴のひとつ」(早川)

解説/早川佳智
1975年生まれ、愛知県出身。スウィング研究に没頭し、現在クラブ設計にも関わるプロ

週刊ゴルフダイジェスト2021年11月9日号より