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【さとうの目】Vol.220「キーワードは“復活”と“プレーオフ”」PGAツアーの20-21シーズンを振り返る

鋭い視点とマニアックな解説でお馴染みの目利きプロ・佐藤信人が、いま注目しているプレーヤーについて熱く語る連載「うの目、たかの目、さとうの目」。今週は20-21シーズンのPGAツアーを振り返る。

PGAツアーはすでに新シーズンが始まりました。今回は少し趣向を変えて、PGAの20-21シーズンを振り返りたいと思います。キーワードのひとつが“復活”です。

まずは開幕戦のセーフウェイオープンで優勝したのがS・シンク。09年の全英オープンでT・ワトソンとの死闘の末に制した全英オープン以来、実に11年ぶりの優勝でした。さらにシンクはマスターズ翌週のRBCヘリテージでも勝ち、同大会では17年ぶりの3勝目、また47歳以上のシーズン複数勝利は史上4人目という快挙です。 

10月のシュライナーズホスピタルで37歳のM・レアード、バミューダ選手権で48歳のB・ゲイがともに7年ぶりの復活優勝を果たします。年が明けて21年初戦のセントリートーナメントで、32歳のH・イングリッシュが8年ぶりに優勝。さらに2月のフェニックスオープンでB・ケプカがケガからの復活優勝、4月のバレロテキサスオープンではJ・スピースがようやく復調、4シーズンぶりの優勝を挙げました。

ベテラン勢の活躍も目立ちました。圧巻だったのは全米プロのP・ミケルソン。48歳8カ月のメジャー制覇は史上最年長記録で、13年の全英オープン以来のメジャー6勝目、通算45勝目となりました。長短2本のドライバーを入れるなど、いつまでも進化を追求する姿勢には頭が下がります。またベテラン勢の活躍の裏には、選手を支える「家族愛」の物語が共通してあるようです。


また、もうひとつのキーワードは“プレーオフ”。14試合が多いか少ないかはわかりませんが、何ホールにもおよぶ戦いや大人数での戦い、名勝負が多かったです。

6月のトラベラーズ選手権でのイングリッシュとK・ヒコックとのプレーオフは、PGA史上2番目に長い8ホールでの戦い。続く7月のロケットモーゲージはC・デービス、T・メリット、J・ニーマンの三つ巴で5ホール、全英同週のバルバソル選手権ではS・パワーとJ・T・ポストンが6ホールで戦い、パワーが悲願の初優勝を果たします。

後半戦は最終戦のツアー選手権前までの4試合、東京五輪を含めれば5試合連続のプレーオフでした。まずWGCフェデックスはA・アンサー、S・バーンズと前週に五輪で銅メダルの7人のプレーオフに進んだ松山くんの戦い。続くウィンダムは史上最多タイの6人の戦いです。さらにザ・ノーザントラストはT・フィナウとC・スミスで争いました。

そしてボクがシーズンの“ベストプレーオフ”に選びたいのがBMW選手権。攻めのB・デシャンボーと、守りのP・カントレーという対照的な選手の戦いで見ごたえがありました。カントレーは6月のメモリアルでもC・モリカワとのプレーオフを制しており、年間王者への足がかりになりました。

昨シーズンは新型コロナウイルスの影響でコーンフェリーツアーからPGAツアーの昇格がなく、ほとんどルーキーのいないシーズンでした。21-22新シーズンは50人が昇格し、そのうち28名がルーキーとして戦います。新シーズンはきっと若手が躍動するシーズンになるのではと思っています。

「最終日を最終組で回った2人の戦いは18ホールで決着がつかず、そのままプレーオフは6ホール目に。ピンチを凌ぎまくったカントレーに軍配が上がりました」(Photo by Ben Jared/PGA TOUR via Getty Images)

佐藤信人

さとう・のぶひと。1970年生まれ、千葉出身。ツアー9勝。海外経験も豊富。現在はテレビなどで解説者としても活躍中

週刊ゴルフダイジェスト2021年10月5日号より