【わかったなんて言えません】Vol.44 目標は「毎日頑張る!」
TEXT/Masaaki Furuya PHOTO/Hiroaki Arihara
「ゲンちゃん」こと時松隆光がプロを招いてトークをする連載「わかった! なんて言えません」。今週のゲストは、先週に引き続き今年デビューした新人の片岡尚之プロ。得意クラブの話から、日頃の練習法、そして今後の目標について、話はまだまだ尽きないようで……。
ホスト/時松隆光
1993年生まれ、福岡県出身。ツアー通算3勝。プロ10年目。テンフィンガーグリップで戦う。愛称は“ゲンちゃん
ご指名/片岡尚之
1997年生まれ、北海道出身。14年の日本ジュニアで北海道の選手として初めて優勝。東北福祉大4年時にプロ転向。今年、プロ入り4戦目で初優勝!
時松 得意なクラブとかってあるの?
片岡 パターとショートアイアンですかね。クラブが長くなるほど苦手になってきます。
時松 パッティングは自信があるんだ。
片岡 いや、自信はまったくないんですが、今のところは上手くいっていますね。最近はグリーンによって入る、入らないがあって、きれいで速いグリーンは入るんですけど、遅いグリーンは途端に入らなくなるんです。
時松 ショットもそうだけど、パッティングはリズムよく打つ感じだよね。
片岡 そうですね、そこは気をつけています。PGAの選手や上手い人たちは構えて数秒以内で打つし、身近にいた東北福祉の後輩の金谷(拓実)もパッティングのテンポが速いんですよ。そういうのを見ていて、自分はもともと長く考えちゃうほうなんですけど、打つまでに長くなるとよいことはないと思って。
「最近は、打つ前は“構え”のポイントだけ、真っすぐ向いているかどうかということを確認して、『よし!』となったら打つようにしています」(片岡)
時松 僕はパッティングは基本遅いけど(笑)。でも調子がいいときは速い。調子がいいときって、ラインもあまり読まないくらいで、「はい、このへん」みたいな感じで打ちますからね。
片岡 いいときはそれで入りますもんね。
時松 それが、「上りでしょ」、「フックでしょ」っていうふうに考えるようになったらダメ。握り方は?
片岡 父親に右手が強くてパンチが入るからクロスにしたほうがいいんじゃないかって言われたのがきっかけで、小学校4年生からクロスハンドです。途中でクロウグリップになったけど、またクロスに戻しています。時松さんはパッティングの練習ってどんなことをするんですか?
時松 僕はあまり器具は使わないかな。スティックを置いたりティーを刺したりもしません。
片岡 器具を使うと矯正はできるかもしれないけど、実戦とは違ってきますもんね。僕も基本あまり使わないです。使うとしたら、アライメントがちゃんと取れているのかなと確認するために使うくらいですね。
時松 なるほど。
片岡 ショットの練習で、これは絶対にするというものはありますか?
時松 けっこうな割合でアプローチの練習をするかな。基本、100球打つとしたら50球はアプローチかな。
片岡 それは距離感を磨くような練習ですか?
時松 芯に当てる感覚だよね。アプローチで上手く当たらなければドライバーで当たるわけないと思っているので。インパクト前後のクラブの動きって大事だから。小さい番手から5球くらいずつ、20Y、30Yと距離を変えていき、それで真っすぐ行きはじめたなと思ったらやっと番手を替える、という感じです。
片岡 僕はアプローチなど短いクラブの精度はいいんですけど、そこから上のクラブがダメなんですよね。ドライバーが真っすぐ飛んでくれさえすれば、もっと上位にいけると思っているので、ドライバーをメッチャ練習するんですが、それでもメッチャ曲がるので、今の話はためになります。
時松 初優勝して、ここからの目標は? たとえばPGAツアーに行くなど、どういうプランを描いているんですか。
片岡 「海外を目指していますか?」と聞かれることが多いので、流れで「そうですねぇ」みたいに言いますが、実は今はまだ海外は行きたいと思ってないです。高校のときにナショナルチームでけっこう海外に行くことがあったんですが、和食が好きなので、やっぱり日本がいいなって思うことも多くて。
時松 会話もできないと、一人ぼっちの感覚が半端じゃない。
片岡 試合以外の日常のストレスがすごくて、それなら日本で戦っていきたいなって思います。もちろんやる気はありますし、マスターズで優勝とか日本の賞金王を目標にする人もいますけど、今の自分はそれを言える立場にないというか、その実力もない。多分、実力がついたときに言えたらいいなっていう感じですね。だから本当に、今後こうなるというのもまだ見えないですし、目標は、毎日頑張るくらいとしか思えないですね。
時松 大事、大事。先より今! 非常にいい言葉です。長いツアーを考えると、「あの1打」というのがすごく響いてくることがあるので、僕は「悪いときも腐らずに」ということをプロになってずっとやっているんです。予選を通過して土曜日に80なんて打っちゃうと日曜日は捨て試合になりがちだけど、順位を1つでも上にして1万円でも多く稼いでおけば、それが後に大きな意味を持つことになることもあるから。その意味でも、「毎日頑張る」っていうのは素晴らしいと思いますよね。
片岡 今の言葉はすごく響きました。頑張ります!
週刊ゴルフダイジェスト2021年8月17日号より