【東京五輪】「これまでの日本にはない本物のトーナメントコース」霞ヶ関CCを詳細解説
ILLUST/Sadahiro Abiko PHOTO/Hiroaki Yokoyama
間近に迫った東京オリンピック。舞台となる霞ヶ関カンツリー俱楽部では、海外の猛者たちを迎える最高の準備が整った。見どころはどこにあるのか? コースと出場選手を紹介する。
解説/佐藤信人
1970年生まれ。ツアー9勝。大学時代をアメリカで過ごし、海外経験が豊富。現在は解説者としても活躍。PGAツアーに精通するデータマニアでもある
起伏に富んだグリーンを
どう攻略するかがカギ
新型コロナウィルスの影響で1年延期された東京五輪。いよいよゴルフ競技の男子が7月29日から、女子は8月4日から霞ヶ関CC東Cで開催される。改造後に何度かラウンドをしたという佐藤信人プロは「これまでの日本では類を見ない本物のトーナメントコース」だと評する。
「16年10月からファジオ親子によって改修がなされ、国際ゴルフ連盟からの指示で計画的にメンテナンスが行われて、大会を迎えます。回ってみての第一印象は、7466ヤード・パー71(男子)という設定が世界水準であることと、トーナメント開催を強く意識した改造がなされているということ。無観客なので残念ですが、プレーが見やすいように整備され、ギャラリーを意識したコース造りとなっています」
男子、女子の連戦で「グリーンが傷まないよう、コンパクション(グリーンの硬さ)を高くすることはできない」としながらも「段やマウンドがついた複数の面に分かれたグリーンは選手を悩ませるはず」とグリーンの難しさを指摘。メダル獲得へは難グリーン攻略が必須だと語る。
霞ヶ関カンツリー倶楽部 東コース
7466Y PAR71(男子)
男子:7月29日(木)~8月1日(日)
女子:8月4日(水)~8月7日(土)
1番 | 2番 | 3番 | 4番 | 5番 | 6番 | 7番 | 8番 | 9番 |
Par4 | Par4 | Par4 | Par3 | Par5 | Par4 | Par3 | Par5 | Par4 |
411Y | 381Y | 459Y | 237Y | 640Y | 386Y | 217Y | 586Y | 521Y |
10番 | 11番 | 12番 | 13番 | 14番 | 15番 | 16番 | 17番 | 18番 |
Par3 | Par4 | Par4 | Par4 | Par5 | Par4 | Par3 | Par4 | Par4 |
189Y | 461Y | 499Y | 398Y | 632Y | 403Y | 203Y | 343Y | 500Y |
女子はレギュラーティーとバックティーをミックスして6600ヤード台の設定になる予定
トム&ローガン・ファジオ親子によって
“リスク&リワード”のコースへ変貌
コースの原型は変えずに距離を伸長し、2グリーンを1グリーンに。「危険から逃げずに挑戦して、成功すれば報酬(次打が有利に)が得られる」という、リスク&リワードの理念を反映させたコースへ生まれ変わった。
●2グリーンを1グリーンに
●フェアウェイに段差がある
フルバックから打つとちょうどランディングエリア付近にバンカーが配されており、マネジメント力が問われる。段差のあるフェアウェイは落とし所で次打の難易度が大きく変わる
●大きく深いバンカーが待ち受ける
改造により、バンカーを掘り下げて深くした。フェアウェイバンカーも深い。何番で打つことになるのか、プロのクラブ選択とその弾道にも注目して観戦したい
【霞ヶ関CC東Cホールレイアウト&詳細解説】
メダルをかけた戦いを制するのは誰だ!?
PGAツアーに詳しい佐藤信人プロと海外女子ツアーにも精通するレックス倉本氏に、霞ヶ関CCでの戦いぶりを占ってもらった。
【男子】
高麗芝のフライヤーに手を焼く選手も
「日本ジュニアとアジアパシフィックアマ開催の霞ヶ関CCは松山選手にとって思い入れが強いコース。誰よりもコースを知っているので、優勝候補筆頭で間違いありません。フェアウェイの高麗芝は、夏場はランが出にくいので、キャリーが出る人が有利。とはいえ、外国人選手は独特なラフからのフライヤーに手を焼くはずです」(佐藤)
コースがトリッキーなわけではないので、暑いだけなら順当に世界ランキング上位者によるメダル争いが予測される
【女子】
日本の夏を知る選手にアドバンテージか
「芝とこの時季の蒸し暑さを知っている日本勢が圧倒的に有利。特に直前のマラソンクラシックで優勝した畑岡選手。全米女子オープンでは笹生選手に惜敗しましたが、リベンジを誓っているはず。対する笹生選手はフィリピン代表ですが、飛距離とアイアンのキレでスコアを伸ばすはず。彼女たちの活躍は期待しかありません」(レックス)
43カ国から男女各60人が出場!
男女それぞれ60人。出場選手は世界ランキングに基づく五輪ランキングによって決定され、各国・地域の出場人数は世界ランク15位以内ならば最大4人、16位以下の場合は最大2人出場できる。
【各国の出場選手一覧】
月刊ゴルフダイジェスト2021年9月号より