Myゴルフダイジェスト

【PGAツアーファン倶楽部】今年の全英オープンは10年ぶり開催の難関コース。我慢比べを制するのは?

TEXT/Masato Ideshima PHOTO/Tadashi Anezaki ILLUST/Takanobu Okabe

今回ピックアップするのは、149回目となる世界最古のオープントーナメントである全英オープン。その舞台、ロイヤル・セントジョージズ・ゴルフクラブを分析する。

全英オープン 2021年7月15~18日
ロイヤル・セントジョージズGC

ロンドンから東へ約100kmほどの場所に位置する名門。リンクスらしい広大な土地に絶景が広がる (Photo by David Cannon/Getty Images)

解説/杉澤伸章

すぎざわのぶあき。プロキャディの経験をもとに独自の視点でトーナメントを分析する

毎ホール風の向きが変わる

今回の全英オープンの舞台はイギリス南部にあるロイヤル・セントジョージズ・ゴルフクラブです。全英オープンの開催は今回で15回目となり、全英開催コースの中ではもっとも南に位置するコースです。ドーバー海峡に面していることも影響してか、比較的天候が安定する7月でさえ天候が変わりやすく、風の向きも瞬時に変化する難しいコースです。

私自身2003年にキャディとしてここを訪れました。ぱっと見た景色は、いわゆる全英らしいリンクスに見えますが、実際に中を歩いてみるとフェアウェイもグリーンもうねりがすごくて、フラットな印象はあまりありません。加えて、マウンドというよりは大きい砂丘のような地形が随所にあり、グリーン面が見えないホールもあります。風といい、地形といい、キャディ泣かせのコースでもあります。

コースの開場は1887年で、初めて全英オープンが開催されたのは1894年。スコットランド以外で開催された初めてのコースでした。リンクスというと1番から出たら9番で折り返して18番まで帰って来られないイメージがあるかもしれませんが、ここは東西南北にレイアウトされているので、そんなことはありません。しかし、このレイアウトゆえに、毎ホール風の向きが変わるのです。前のホールの風向きが参考になるどころか迷いの原因にもなりかねません。

砂丘のような地形と前述しましたが、4番ホールには通称“ヒマラヤバンカー”と呼ばれる大きく壁のようなアゴを持つバンカーがあり、名物ホールのひとつになっています。また6番のパー3も名物ホールですが、グリーンの周りを砂丘が取り囲むような地形になっているため自然のスタジアムができあがっています。1887年当時の設計からほぼ変わっていないと聞きますが、そのときにすでにトーナメントを想定していたのかと思うと英国が持つゴルフの歴史の奥深さを感じずにはいられません。

試合の展望に関しては、前回ここで開催された際のダレン・クラークの優勝スコアが「5アンダー」、その前のベン・カーティスが「1アンダー」ということを考えると今回も伸ばし合いにはならないでしょう。もちろん天候にもよりますが、ショット力と我慢強さが必要になるでしょう。見応えのある全英オープンになるはずです。

杉ちゃんのコース解説
「風が吹くと難度は一気に上がる!」

7189Y・Par70
1番2番3番4番5番6番7番8番9番
Par4Par4Par3Par4Par4Par3Par5Par4Par4
445Y421Y239Y491Y422Y174Y566Y450Y412Y
10番11番12番13番14番15番16番17番18番
Par4Par3Par4Par4Par5Par4Par3Par4Par4
415Y238Y379Y456Y547Y496Y162Y426Y450Y
7000ヤード超えのパー70設定は風が吹くととんでもなく難度が上がる。大きな砂丘と風が攻略の鍵を握っている

【1番・445Y・Par4】 グリーン手前の3つのバンカーに要注意
広々とした印象を受けるスタートホールだが、実際はコブだらけでフラットな場所から打てることはほぼない。

【4番・491Y・Par4】 最難関のパー4には名物バンカーが
ヒマラヤバンカーと呼ばれる大きな砂丘をえぐったようなバンカーがある。入れるとボギーすら怪しくなる。

【6番・315Y・Par4】 スタジアム形状になった名物パー3
距離以上に難しいのは風が読みにくいことと、縦の距離感がつかみにくい点。ここもパーでしのいでいきたい。

【11番・238Y・Par4】 グリーンを外すと寄せが難しい
グリーンの両サイドが削り落とされているような形状。ティーショットは縦だけでなく、横の高い精度も必要になる。

【14番・547Y・Par5】 後半に向けて獲りたいパー5
バーディが欲しいパー5だが、右サイドのOBが効いている。強気に攻めきれた選手だけがバーディを奪える。

【18番・229Y・Par3】 フェアウェイ真ん中にバンカーが!
ティーショットでバンカーにいかにつかまらないかが鍵。最後でダブルボギーもある難しいパー4。

フェアウェイとグリーンが一体に感じる
コースの随所に大きな砂丘がありひとつひとつが自然の地形で、それをそのままを生かしてレイアウトされている。厳密には砲台ではないが、地形の妙でグリーン面が見えないことも多々ある。フェアウェイからグリーンまでつながっているように見えるため、距離感をいかにつかむかが攻略のポイントになる。

杉ちゃんの“勝手にパワーランキング”

1位 ジョン・ラーム

●1994年11月10日生まれ ●26歳 ●米ツアー6勝
どんなコースでも安定した成績を残せる選手。メジャー初制覇を成し遂げられるか、注目!

2位 マーク・リーシュマン

●1983年10月24日生まれ ●37歳 ●米ツアー6勝
オーストラリア出身の37歳。風に強いプレーヤーなだけに、上手くかみ合えば大いにチャンスはある

3位 ダスティン・ジョンソン

●1984年6月22日生まれ ●36歳 ●米ツアー24勝
どの試合でも優勝候補に挙げられる安定感を持つ。全英初制覇に挑む。現在、世界ランク1位

松本進のスウィング解説

ダスティン・ジョンソン
「体の強さと柔軟性がスゴイ!」

「飛んで曲がらない」代表のダスティン。フェースをシャットに使い、ローテーションを抑えながら打つことで安定性を出しています。そこに、強烈な体の回転スピードがともなうことで、飛距離を生み出しているのです。この回転スピードがあるから、飛距離と方向性を両立できるのです

スウィング解説/松本進

1986年より渡米し、最新のゴルフ理論とスポーツサイコロジーを学ぶ


PGAツアーを観るなら「ゴルフネットワーク」!

「全英オープン」放送日時
1日目 7/15(木)午後2:30~翌午前4:00
2日目 7/16(金)午後2:30~翌午前4:00
3日目 7/17(土)午後6:00~翌午前4:00
最終日 7/18(日)午後5:00~深夜3:00
(※最大延長 [1日日]午前5:00まで [2日日]午前5:00まで[3日日]午前5:00まで [最終日]午前7:00まで)
https://www.golfnetwork.co.jp/


月刊ゴルフダイジェスト2021年8月号より