PHOTO／Tadashi Anezaki

全米オープンで優勝を争ったジョン・ラームとブライソン・デシャンボーには共通点がある。それは14年に軽井沢で開催されたアマチュア国別対抗チーム戦で来日したこと。ライバル伝説の始まりは日本だった!?

世界67カ国が出場したチーム戦で優勝したのはアメリカ。エースのデシャンボーは3日目に「61」のベストスコアをマークし、チームの勝利に貢献。ワンレングスのアイアン、かまぼこのようなパターの使い手が世界に羽ばたくのはそのすぐ後のこと。

対するスペインはチーム戦こそ3位に終わったがラームが個人戦で優勝。3日目、4日目とノーボギー。6連続バーディの猛攻は今でも語り草だ。

当時取材で訪れたとき、スペインチームのコーチがラームを指して「彼は未来の世界ナンバーワン。話を聞いておいたほうがいいよ」。190センチを超す長身でがっちりとした体格の青年は大相撲でも通用しそうなほど迫力満点。そのうえ器用で、われわれにアプローチのレッスンを丁寧にしてくれた。

19歳の頃のラーム。当時のハンディは+4。ロブショットの打ち方について「大事なのは重心を下げること。スタンスを思いっきり広くすると下半身が安定するよ」と丁寧に説明してくれた

その2人がのちに全米オープンチャンピオンになるのだから奇縁を感じずにはいられない。昨年はデシャンボーが圧倒的な飛距離でコースをねじ伏せ初戴冠。ベテランたちに「ゴルフが違うゲームになってしまった」と言わしめた。

すると今年は最終日の前半まで連覇を狙うデシャンボーがトーナメントを引っ張ったが肝心のバック9で崩れ、上がり2連続バーディで勝負強さを見せつけたラームがチャンピオンに輝いた。

7年前、アマチュアナンバーワンを競った2人がいまや最高峰のメジャーでタイトルを争っている。あの日スペインのコーチが言ったとおり、ラームは26歳にして世界ナンバーワンに上り詰めた。デシャンボーは現在6位だが、今後1位に浮上する可能性は十分ある。

軽井沢から始まった26歳と27歳のライバル伝説。今後もメジャーでとびきりの物語を紡いでくれるに違いない。

週刊ゴルフダイジェスト2021年7月13日号より

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