【わかった! なんて言えません】Vol.37 「パーでいいや」はボギーになる
「ゲンちゃん」こと時松隆光がプロを招いてトークをする連載「わかった! なんて言えません」。今週からのゲストは、同じ1993年生まれ、同じ九州出身の出水田大二郎プロ。今回は我々アマチュアゴルファーにも「あるある」なメンタルの話です。
ホスト/時松隆光
1993年生まれ、福岡県出身。ツアー通算3勝。プロ10年目。テンフィンガーグリップで戦う。愛称は“ゲンちゃん
ご指名/出水田大二郎
1993年生まれ、鹿児島県出身。九州ジュニアで4連覇後2011年プロ入り。ツアー1勝。持ち味は183㎝の体格を生かしたビッグドライブ
時松 今回のゲストは、出水田大二郎さんです。僕と同じ1993年生まれ。でも出水田さんは早生まれなので、学年だと1つ歳上なんです。なので、敬語を使わせていただきます!(笑)。
出水田 源蔵とは同じ九州出身で、僕は鹿児島だけど、2年前からは源蔵の地元・福岡で暮らしている。福岡に越して来てから、ここで源蔵に会うの初めてやな(※対談場所は福岡)。
時松 そういえば初めてっすね。
出水田 選手会長は忙しいから。大変そうだよね、会長職。
時松 コロナ禍が続くなかで、1つのトーナメントを開催するのがこれだけ大変で、多くの方々のサポートを必要としているということを改めて実感しましたね。スポンサーはじめ、みなさんに無理なお願いをするばかりで、感謝、感謝で、頭が上がりません!
出水田 平穏だと気づかないかもしれないけど、このコロナ禍で試合があることが、こんなにありがたいことだとは。とはいえ源蔵、ずっと上位にはいるよね。先月のジャパンプレーヤーズ選手権でも2位タイ。その忙しさで好成績はさすがだよ。
時松 ありがとうございます! 今までの会長のように、1勝はしたいですが……。ところで出水田さんとは血液型がAB型というのも共通点なんですよね。
出水田 AB型同士って、相性合わんらしいよ(笑)。
時松 AB型って、ヌケてるところがあるっていいますけど、出水田さんはどうっすか?
出水田 あるね(笑)。集中していて、人の話を聞いていないとか。源蔵も、1つのことに集中したいタイプでしょ?
時松 はい。みんなで話しているのに考え事をしてしまって、「えっ? 今、何の話しとった?」みたいな。
出水田 「今、何の話しとった?」って普通聞けない。ご年配の相手のときはどうするの?
時松 話題がわかっていなくても、「ですよね~」って、相槌を打ちます!(笑)。
出水田 だけどさ、それだけ自分の考えに集中できるってことは、ゴルフのメンタルには生かせるかもしれないよね。
時松 大二郎くんにまず聞きたかったのは、そこです。武器は“飛ばし”だと思いますが、あの飛距離の裏には、僕なら迷ってしまうようなシチュエーションでもドライバーを振り切るという確固たるメンタルがあるように思うんですけど。
出水田 確かに、迷うと結果はよくないことが多いかもね。だけどメンタルって、その日によっての波ってあると思う。今日は落ち着いているよなって日もあれば、あれ? 緊張しているなって日もある。
時松 自分の状態を見極めることですよね。2018年、福岡でのKBCオーガスタ、ツアー初優勝のときはどうでした?
出水田 最終日、意外と大丈夫かなと思っていたんだけど、やっぱり終盤は緊張して、最終ホールなんて体が動いてくれなかった。3打目の80ヤードのアプローチ、下半身が固まったままで、よく打てたなってくらいだったから。
時松 初の最終日最終組、折り返しまでボギーなしの3アンダーで3打差つけていました。
出水田 でも14、16番でボギー。簡単なはずのホールで叩いて、ちょっと焦ってきた。17番でバーディがきたのに、最終ホールは「パーでも勝てる」と思ったら、なぜか不思議と緊張してきたし。
時松 17番を攻めて成功して、最終ホールは守りに入った。
出水田 そう! 「パーでいいや」だとボギーになるってこと、やっぱり多いよね。
時松 ありますね。でも、あの最終ホールではパーを狙ってしっかりパーで優勝。すごいっす!
出水田 ウィニングパット、ガチガチに緊張して沈めた。「パーをとる!」がよかったのかな。2つ歳上の高校(鹿児島・樟南高校)で寮のルームメートだった秋吉翔太さんが、めっちゃ嬉し泣きしてて。あの涙を見たら、自分の涙は引っ込んじゃった(笑)。
時松 大二郎くんはたくさんのプロに慕われとってですね、初優勝は九州出身のプロみんなで水を掛けて祝福しましたよね。
出水田 そう、源蔵もいてくれて。ところで源蔵、KBCオーガスタは地元なのに、コースが苦手なの?
時松 そんなことないんですけど、実家から通ってて毎年のように予選落ちしていました(笑)。あの大二郎くんが勝った年に初めて予選通過やったから。やっぱ、メンタルっすかね?(笑)
出水田 勝ちたいといくら思っても勝てるわけではないんだけど、だからこそ、勝てたときは格別なんだよね。初優勝、涙は引っ込んだけど、嬉しかったです。
時松 ヒリヒリした優勝争いのプレッシャーに打ち勝って、もっと喜びを味わいたいっすね。
出水田 うん。AB型の集中力を見せよう。(つづく)
週刊ゴルフダイジェスト2021年6月29日号より