さらなる高みへ! 渋野日向子のスウィング改造、識者の見解は?
PHOTO/Shinji Osawa、Tadashi Anezaki、Takaaki Masuda
今年に入り、スウィングがガラリと変化した渋野日向子。結果が伴わないと否定的な意見も出てくるが、そうすぐに結果として表れるものでもない。今回の思い切ったスウィング改造について、専門家たちはどう見ているのか? 話を聞いてみた。
解説/黒宮幹仁
松田鈴英などを教えるプロコーチ。最先端スウィングに精通する
道のりは険しいが
渋野選手なら……
「渋野選手の新スウィングは、米ツアーで戦うための飛距離アップを目指したもの」と語るのは、プロコーチの黒宮幹仁氏。渋野のスウィングの変化とその意図について次のように説明する。
「大きな違いは低いトップですが、トップを低くすると、スウィング軌道がゆるやかになり、アッパーでボールをとらえやすくなります。スピン量を減らして効率よく飛ばそうという意図の表れですね。この動きは、セルヒオ・ガルシアなどが取り入れていますが、女子にはいません。それは体幹の強さから生まれる回転力が必要だからです。普通の女子選手がやると、体を上手く使えず逆効果になってしまう可能性が高いんです。しかし、渋野選手は手足が長く、握力も強いなど、もともとのポテンシャルが高いうえに、トレーニングにも力を入れていると聞きます。だからこそ取り組めるのだと思います。本人が話すように、発展途上の段階ですが、これから体幹力が鍛えられ回転力が上がれば、さらなる飛距離アップが期待できるでしょう。僕はありだと思っています」
2020年
手元が頭よりも上にある高いトップ
手元が頭よりも上にある高いトップから、ヘッドがやや鋭角に入ってくる。地面を蹴る動きによって縦方向の力を上手く利用してパワーを生み出し、飛距離を出していた
2021年
手元が頭よりも下にある低いトップ
右肩の高さと同じ位置に手元がある低いトップに変更したことでスウィングの軌道もゆるやかに。アッパーでボールをとらえられるようになり、スピン量が減り効率よく飛ばすことができる
渋野日向子 今シーズンの成績は?
2019 | 2020-21 | |
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ドライビングディスタンス | 248.21Y | 236.83Y |
フェアウェイキープ率 | 67.94% | 70.57% |
パーオン率 | 70.75Y | 70.07Y |
※スタッツは国内の大会(アクサレディスまで)のもの。
日程 | 試合名 | 順位 |
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3/4~7 | ダイキンオーキッドレディス | 13位T |
3/12~14 | 明治安田生命レディス | 57位T |
3/19~21 | Tポイントゴルフトーナメント | 11位T |
3/26~28 | アクサレディス | 15位T |
4/1~4 | ANAインスピレーション | 72位T |
4/14~17 | ロッテ選手権 | 33位T |
4/29~5/2 | HSBC女子チャンピオンズ | 67位T |
5/6~9 | ホンダLPGAタイランド | 34位T |
5/20~23 | ピュアシルク選手権 | 31位T |
今年はウェアもチェンジ!
変化があったのはスウィングだけではなかった。米ツアーでは、「ビームスゴルフ」から「アディダス」にウェアを変更。心機一転の渋野日向子に注目だ
プロコーチ10人に聞いた!
渋野のスウィング改造あり?なし?
●「あり」(大西翔太コーチ)
体を鍛えられればいけるはず
「進化には一度沈むことは重要です。もう一段階ステップアップするための助走期間だと思えば、今の改造も納得できます。体を鍛えてスウィングとマッチできれば結果はついてくるはず」
●「不安あり」(阿河徹コーチ)
グリーンを狙うショットが難しくなる
「ドライバーでは、スピン量が減って効率が良くなりますが、不安なのはアイアンやウェッジショットでのスピンです。グリーンに止めなくてはいけないので諸手を挙げて賛成はできないですね」
歴代の改造成功者を見てみよう!
中嶋常幸の場合:クラブの変化に対応
89年の冬から1年間、パーシモンからメタルヘッドへの移行時にスウィング改造を試みる。ウェートシフトが大きかったところを、体の中心で振るスウィングに。結果、90年の関東プロで3年ぶりの優勝を果たす
米山剛の場合:ケガを機にスウィング改造に着手
首の痛みがきっかけで45歳からスウィング改造に着手。オーバースウィングだったトップをコンパクトにし、再現性を優先。3年以上の時間を費やし、2018年の日本プロシニアで復活優勝
月刊ゴルフダイジェスト2021年7月号より