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【インタビュー】金谷拓実<前編>「あっという間の1年。とにかく楽しかった」

プロ入り6年目の2025年シーズン、念願のPGAツアーにフル参戦した金谷拓実。24年のニッポンの賞金王は、夢の舞台でいかに戦ったのか。「充実」と「成長」の日々を語る。

PHOTO/Hiroaki Arihara、Tadashi Anezaki、Yoshihiro Iwamoto

金谷拓実 かなや・たくみ。1998年広島県呉市出身。広島国際学院高2年時に日本アマ、東北福祉大1年時にはアジアパシフィックアマを制し、2年時にはプロツアーで優勝し世界アマチュアランク1位に。20年プロ転向。日本ツアー7勝、アジアンツアー1勝。2025年には米PGAツアーのシード権(ランク99位)を獲得。

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「1年間戦ってきた体をしていました」。長年、金谷拓実のトレーナーを務める大坂武史がアメリカから帰国した金谷の体を見て口にした言葉である。体が、2025年も自分と向き合いながら力の限り戦ってきたことを物語っていた。昨年の日本シリーズJTカップ。金谷の25年最終戦は、アメリカでもまれた1年の集大成のようなラウンドだった。

ドライバーショットはフェアウェイを外さない。低い球で果敢に攻めていく。4日間のフェアウェイキープ率は71.429%で2位だった。強気のパット、粘りのプレーを続けていき、結果は5位タイ。

金谷のラウンドを間近で見ていると何だか目が離せなくなる。いつも最後まで諦めない“金谷らしいプレー”を見せてくれるからだ。

「集中しているから、そう感じてもらえるのかな。でも人によって見せ方は違う。同じ見せ方をする必要もないとも思います」。 

ギャラリーからは、「さすが賞金王、生で見るとオーラがあるな」という声も聞こえてきた。このオーラは、この1年で金谷がつかんだ“自信”と“成長”から生まれたのではないか。

あっという間の1年
とにかく楽しかった

2024年のPGAツアーQスクールファイナルを3位で通過し、ゴルフを始めた頃から思い続けてきた夢の舞台に立った金谷拓実。その夢の舞台は、困難だらけのように見えた。29試合出場のうち予選通過は13試合。トップ10は4回。この数字だけを伝えながら“夢の舞台”はどうだったか聞くと、

「本当に1年があっという間でした。序盤など予選落ちが続いたときは周りの人や応援してくれている人が心配してくれるんですけど、僕自身は何だか楽しくて。だから、“そんな心配しなくてもいいよ”という感じでやっていました。ずっとPGAでやりたくてプロになり、ようやくここでプレーできている。結果が出ないときも、どういうプレーをしたらもっとよくなっていくのかを考え、日々成長を続けていけば、もっともっといいプレーができる手応えも出てきた。出場した試合数が今までで一番多かったことも楽しかった」

という答えが返ってきた。その言葉には、ポイントランク99位でギリギリ、シード圏内に滑り込んだ疲労感はなく、むしろ充実感があった。

金谷は20年にプロ入りしてから常に海外に挑んできた。しかしここ2年のインタビューでは、その高い壁に跳ね返され「落ち込んだ時期があった」と語ってもいた。しかし、昨年に関してその種の言葉は出てこなかった。

「予選落ちしたときなどはやっぱり落ち込むし、週末に練習場にいることはめっちゃ悔しい。でも自分のなかで日々成長することをプライドを持ってやっていたし、それがその後につながると信じてやってこられました」

たとえば、パットが入らなかったから“根性練習”をした。

「僕はQスクールからの選手だったので、予選ラウンドで午後スタートの一番最後の組に入ることも多くて、14時半スタートなどになる。最初の頃は、何をするか持て余していましたが、ふと、その時間に練習しよう! と思ったんです。早朝組の人たちと同じくらいの時間にコースに行ってパットの練習をし、ご飯を食べて、帰って一度寝てから、またコースに来てウォーミングアップしてスタートしていました。最初の頃は(久常)涼に『えっ?』という顔をされた(笑)。それでも僕は普通の顔でやっていました」

これをずっと続けた。他の人より練習すれば上手くなることは、心身で理解している。

「選手に迷惑がかからないようにグリーンの端っこで。ストロークの確認やいろんな練習器具を使って打つ。アメリカには上級者向けのいろいろな種類の器具があるんです。ゴルフショップで見るのも楽しくて、パターやスウィングの練習器具を買って試していました」

「パットの“根性練習”をずっと続けて、結果につながった」

パッティング巧者の金谷。「アメリカで最初に思ったのは、グリーンの傾斜が入り組んだところに上手くピンを切っているなと。はっきりした傾斜ではなくて、錯覚を使ったり芝目で思ったより曲がらなかったりする。合わせて読み方を変えました」

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週刊ゴルフダイジェスト2026年1月20日号より