スポンサー撤退・コース未定……史上初の選手会主催大会、開催のウラにあった危機と奇跡
PHOTO/Hiroaki Arihara
着想から約1年、初のジャパンゴルフツアー選手会主催の国内男子トーナメントが、GW期間に開催された。大会名は「ジャパンプレーヤーズチャンピオンシップ byサトウ食品」。コロナ禍ということもあり、一時は開催が危ぶまれたが、紆余曲折を経て、ついに実を結んだ。選手会、スポンサー、開催コースが一丸となっての新たな試み、今後の大会運営の試金石となるか?
コロナ禍で、さらに史上初の試みを完遂させるにあたって、「何が一番と言ったらいいかわからないくらい苦労した」と、大会実行委員長・池田勇太が漏らすほど、開催までの道のりは苦難の連続だった。
なかでも大会直前に起こったスポンサーの撤退劇と、使用コース未定という問題から、一時は開催すら危ぶまれたが、「選手たちに活躍の場を与えたい」という選手会側の強い気持ちは周囲へと波及。3月下旬には食品製造業大手のサトウ食品が特別協賛に手を挙げ、さらに開催コースも西那須野CCに決定。開催まで2カ月を切った、まさに直前のタイミングでのどんでん返しだった。
「2月にお話をいただいたときは、まさに青天の霹靂でした。しかし、“ツアーを盛り上げたい”という選手たちの顔を見て、やれることは多くはないかもしれませんが、ぜひ応援させていただきたいと、手を挙げさせていただきました」とサトウ食品の佐藤元(はじめ)社長。2002年から3年間開催された『サトウ食品NST新潟オープン』以来、約20年ぶりに特別協賛社を務めるに至った。
一方、開催コース側にも葛藤はあったという。
「来場者の多いゴールデンウィーク期間中に営業を止めることと、この時期にベストコンディションを提供できるかということ。この2つの問題で、非常に悩みました」とは西那須野CCの藤井信也支配人。とりわけ大きかったのが後者で、冬季クローズ期間を設ける当コースが最も美しい時期は、本来5月下旬であり、芝の育成を前倒しにするリスクは計り知れなかったという。それでも
「選手会の方々の熱意を感じ、その気持ちに応える形でお受けさせていただくことにしました」
すでに決定していた年間の管理スケジュールを白紙に戻し、再度練り直したことで、ほぼ最高に近い状態へ持っていくことに成功した。
さらに、ボランティアの大半を倶楽部メンバーが担うことに。全方位からの男気あふれる後押しを引き出すきっかけとなったのは、選手たちの熱い気持ちだった。
大会開催までの道のり
2020年
■12月25日 初の選手会主催大会の開催が発表される
2021年
■2月24日 リシャール・ミルが特別協賛から撤退
■3月24日 サトウ食品の特別協賛が決定
■3月25日 開催コースが西那須野CCに決定
■5月6日 史上初の選手会主催大会開催
中西直人は特製キャディバッグを“自作”
「『恩返しがしたい』その一心で作りました」
サトウ食品とスポンサー契約を結ぶ中西直人は、ごはんキャラのキャディバッグを“勝手に”作ったという。窮地を救ってくれたサトウ食品に対する恩返しの表れだ
週刊ゴルフダイジェスト2021年5月25日号より
※誌面にて、文字が背景と同化し判読が困難な状態となっておりました。ここにお詫び申し上げます。