「右手を封印して3カ月間スライスだけ打ち続けました」【長野泰雅のチーピン克服物語】<後編>
月刊ゴルフダイジェスト
9月のロピアフジサンケイクラシックで初優勝した長野泰雅だが、昨年は重度のチーピンに苦しんでいたという。後編では、チーピンを克服した具体的な方法について聞いていこう。
TEXT/Yumiko Shigetomi PHOTO/Hiroaki Arihara、Tadashi Anezaki THANKS/フォーティネットプレーヤーズカップ

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- いつもノリが良く明るい長野泰雅。しかし昨年は人知れず苦しみを抱えその笑顔が陰ることも多かった。それは“チーピン”という厄介な病を抱えていたからに他ならない。どうやって克服したのか TEXT/Yumiko Shigetomi PHOTO/Hiroaki Arihara、Tadashi Anezaki THANKS/フォーティネットプレーヤーズカップ 長野泰雅 ながの・たいが。九……
反対の動きを大げさに
やらないと直らない
苦しい24年シーズンを終えてから“チーピン治療”を開始したというが、何をしたのか?
「持ち球だったドローを完全に封印して、徹底してスライスを打ちました。子供の頃に教わっていた地元のプロに相談したら、フェースがかぶらないように左手首を掌屈させて固めて打つようにアドバイスを受けたんです。右手を使ってしまうと“フェースがかぶるから、完全に左手だけで打つように”と意識しました。最初は右プッシュだったし、スライスが打てても260ヤードくらいしか飛ばないんですけど、3カ月間それだけを打っていました」
チーピンを直すためにスライスを打ち、右手で返しすぎるから左手で打つ。要するに反対のことをやって悪い癖を矯正するということだ。
「あとはハンドファーストでインパクトすることにも取り組みました。リリースが早くなるとフェースがかぶってしまうので、最後までヘッドをリリースしないで打つんです。大げさな動きをしないと、チーピンは直せないと思ってやり抜きました」
チーピン克服法①
左手首を固めてフェースを絶対に返さない


チーピン克服法②
インパクトは必ずハンドファースト

3カ月後にはドローと
フェードの両方を会得
スライスを打つためにはフェースを返さないことに加え、カット軌道にする必要もあった。
「僕はもともとトップが高いんですけど、そこからループしてヘッドがインサイドから入っていたんです。だからトップからボールに直線的に下ろしてカットに振るようにしました」
チーピン克服法③
練習では大げさにカット軌道で振る

クラブが垂れてインサイドから入る動きをなくすため、もともと高かったトップをさらに高くして、大げさなカット軌道でスライスを打つ練習をした
このスライス特訓によってチーピンを生み出す動きは解消され、開幕戦で久しぶりにドローを打ってみたら気持ち良く振れたという。
「思った通りのドローが打てるようになっていて、チーピンの心配はなくなりました。しかもオフにスライスを打ち続けたおかげで、絶対に曲げたくないときはローフェードを打てばフェアウェイに行くという状態になったんです。フジサンケイはコースが狭いから、全ホール“ローフェードのライン出し”で優勝したんですよ」

ローフェードのポイント3
ティーの高さは1cmくらいにする

通常もティーアップは低めだが、ローフェードはさらに低くしてフェース面の下部で打つ
ローフェードのポイント2
クラブは2cmくらい短く持つ
クラブを短く持つだけで通常のフェードよりも弾道が低くなり、ラインが出て曲がらない

ローフェードのポイント3
フィニッシュはスリークオーターで止める

アイアンのライン出しショットと同じで、クラブは最後まで振り切らずにスリークオーターで止める。これ以上振るとフェースが返るリスクが生じてしまう
長野’s ローフェードスウィング
月刊ゴルフダイジェスト2026年1月号より


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